第24話 💥 鋼鉄の冬
神崎が戦国時代を大幅に改編した副作用が令和日本で起きていた。
2025年12月23日:東日本・前線
「コードネーム『裂け目(リフト)』。作戦開始だ、全機、進め!」
凍てつく夜空に、岩手県側からの怒号が響く。地表を覆い尽くす白い雪は、もはや平和な冬の風景ではない。それは、この国の分断を象徴する、冷たい死の帳となっていた。
あの日、日本列島は、まるで神に引き裂かれたかのように**「北」と「南」**に分裂した。そしてわずか数週間の停戦期間の後、東北地方の二つの県が、互いの存立を賭けた血みどろの衝突を引き起こしたのだ。
宮城と岩手。
その県境――かつては穏やかな国道が走っていた――は、今や鉄と硝煙のにおいが立ち込める最前線、**「
宮城側の丘陵に、三機の巨大な二足歩行兵器が、雪煙を上げて仁王立ちになっていた。その姿は、かつてゲームの中でしか存在しなかったはずの、**ヴァンツァー(WAP:Walk-Assault-Panzer)**そのものだった。
機体には、宮城**「新生ヤマト連邦」の旭日旗を模したマークが描かれ、左腕のシールドには、厚い装甲に負けぬほど巨大な「岩手殲滅」**の文字が刻まれている。
「隊長、岩手軍の『ガンパイル』が三機確認できます。レーザーライフルの射程内です」
パイロットの一人、ユウキが硬い声で報告した。彼はまだ18歳だが、この極限のロボット戦場では、既にベテランの域に達していた。
隊長機、型式名『ワンアイ・ドラグーン』のコックピットで、アキラは奥歯を噛みしめた。彼は知っていた。これは単なる地域紛争ではない。
この国内戦の影で、新生ヤマト連邦は、かつての超大国への**「復活」**を夢見て、国内のロボット技術を極限まで高め、そして狂気的な決断を下したのだ。
「岩手ごときに、時間を食っている場合じゃない」
アキラはヘッドセットに向かって低く呟いた。彼の目の前のモニターには、岩手軍のヴァンツァーのロックオンサイトが点滅していた。
しかし、彼の脳裏をよぎるのは、数時間前に司令部から下された、あまりにも非現実的な最終命令だった。
「2025年12月24日 00:00をもって、新生ヤマト連邦は、大陸の『中華統一国家』に対し、全方面からの宣戦布告を実行する。東央戦線は速やかに突破し、全ての戦力を太平洋岸に集結させよ」
ユウキが叫んだ。
「隊長! 撃ってきます!」
閃光が走り、熱線が雪原を蒸発させる。
アキラは深呼吸し、全身の力をレバーに込めた。
「全機、回避! そして、この戦いを終わらせろ! ――我々は、この国の未来を、あの大陸で作り変えるんだ!」
重量数十トンの鋼鉄の巨人が、地響きを上げて雪原を駆け抜けた。2025年12月23日、夜。内戦を足がかりに侵略国家へと変貌した**「新生ヤマト連邦」**の、長く、血塗られた戦いの序章が、今、幕を開けた。
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