第13話 本戦出場決定!

「ゴール!」

 ルーナがNPCを連れて、ゴールラインを駆け抜ける。NPCのHPは満タン。タイムも予選参加ギルドの中でもトップクラスだ。


[予選クリア!《クローバー》本戦出場決定!]


 システムメッセージと共に、コロシアム中に《クローバー》の名前がコールされる。

「「「やったー!」」」

 アリス、ルーナ、フィリアの三人がハイタッチをして喜び合う。

「簡単だったね!」

「私たちの作戦、完璧でした!」

(この連携、予想以上にうまく機能してる。本戦が楽しみだわ)

 メイはクールに分析しつつも、内心では満足していた。全員がセカンダリージョブに「盾」を選び、隠し称号の効果で「全員硬い」という異質なパーティー。それがガチ勢が集う予選で通用したのだ。

 予選を見守っていた観戦プレイヤーたちや他の参加ギルドの面々からは、驚きと戸惑いの声が上がっていた。

「おい、あのパーティー、マジでノーダメクリアかよ……」

「動きがおかしい。前衛役の二人だけじゃなくて、後衛の魔法使いもプリーストも全然攻撃食らってねえぞ?」

「『全員盾』とかネタだと思ってたけど、あれ、ガチの最強パーティーなんじゃねえの?」

「リーダーのモンク、盾で殴ってたよな?システム的にアリなのか?」

《クローバー》の異質さは、確実に他のプレイヤーたちの記憶に刻み込まれた。

「ねえ、メイちゃん。あの技、使わなくて良かったの?」

 アリスが小声でメイに尋ねる。彼女の頭の中には、誰も見たことのない、驚きの戦術の未来が描かれていた。

(まだ見せる必要ないわ。切り札は本戦まで温存)

「あれは本戦まで秘密よ」

 メイがそう言うと、アリスは「そっかー、残念」と笑う。

「じゃあ、本戦に向けて、ギルドハウス戻ってお祝いパーティーだ!」

 ルーナの提案に全員が賛成する。

「この調子で本戦も突破しちゃおうぜ!」

「おー!」

 こうして《クローバー》の四人は、周囲のプレイヤーたちの驚愕の視線を背に、マイペースにギルドハウスへと戻っていった。セカンダリージョブ実装によって動き出した世界の歯車は、彼女たちという異物によって、さらなる予測不能な方向へと回り始めている。

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