第14話 世界はそれを愛と呼ぶし、君が好きだと叫びたいし、Love me でlove youなラヴパレード的恋愛革命でいいんですか?
「じゃあ、またパークで!」
「うん! じゃあね!」
僕は電車を降りて、あかねちゃんに手を振った。電車のドアが閉まる。閉まっても、電車があかねちゃんを乗せて離れて行っても僕はずーっと手を振っていた。
——あ
僕は別れてから今日あかねちゃんに告白しようと意気込んでいたことを思い出した。でも……。
——クリスマスにデートするんだからこれはもう……
『付き合ってるも同然でしょうな』
「やっぱりそう思う?」
駅の電光掲示板が僕に話しかける。そこには何時何分何何行きの電車の表示ではなく、『タテノ♡あかね12/25クリスマスデート』と表示されていた。どうやら電光掲示板も僕たちを祝ってくれているらしかった。
『おめでとう、タテノくん』
「ありがとう!」
ICカードに描かれているキャラクターが話しかけてくる。僕は思わずお礼を言う。そして、改札にカードをタッチする。
パンパカパーン
『おめでとうございます!』
ピッという音の代わりにファンファーレと鐘の音が改札から鳴り響く。それは結婚式の際に鳴らされる鐘の音のように聞こえた。
『新郎のタテノくんのお通りです』
「おいおい、新郎は気が早いよ」
僕は改札にツッコむ。改札から外に出ると視界の全てがキラキラと輝いていた。それはまるで電球を何万個と使ったイルミネーションのようだった。あぁ、世界はこんなにも輝いていたんだ。その輝きに負けじと夜空の星々たちもキラキラと輝き始めた。
『おめでとう。今日多めに降らしておくね』
「わぁ、綺麗だ」
夜空には流星群がこれでもかと言うほど流れていた。
「これはなんて言う流星群なの?」
そう夜空に問いかけると、夜空は僕に答えた。
『これは“タテノあかねラブラブ流星群”さ』
「もう夜空ったら! なんていう最高のネーミングセンスなんだ!!」
『恐縮ですな』
夜空はそう答えるとさらにとめどない流星群を降らせるのだった。
僕はそんな夜空を見上げながら帰路についていた。大通りの方に出るともっとキラキラしたものが僕を待ち受けていた。
『おめでとうー! タテノくーん!』
「ありがとうー!!」
道路の4車線をキラキラとしたクルマたちが埋め尽くしていた。そのクルマは普通のクルマではなく、極彩色の色とりどりな灯りに彩られていた。まるでテーマパークのパレードのようだった。
「これは一体なんのパレードですか?」
僕はパレードクルマと並走して踊っているダンサーに聞いてみる。ハートだらけの服を着たそのダンサーは満面の笑みで答える。
『それはそれは決まっているでしょう。タテノさんとあかねちゃんの愛を記念したパレードなのでございます。今宵は夜が明けるまで踊りが止まることはありませんよ』
「うわぁ、ありがとうございます!」
『こちらこそ。世界に愛を増やしていただいて感謝でいっぱいなのですよ』
そう言うとそのダンサーはハートを振りまいて行進していった。
——あっちにも愛が……!
——こっちにも愛が……!
僕が信号を見る。すると、信号は赤黄色青ではなく、全てがハートの表示になった。横断歩道のシマシマは全てハートに。止マレの文字は“タテノ♡あかね”になっていた。
——あれもラブ! これもラブ!
今になって愛が溢れたわけじゃない。そうだ、世界にはこんなにもラブが溢れていたんだ。
『タ〜テノ、あかねラブ! タ〜テノ、あかねラブ!』
パレードクルマから音楽が流れ始める。僕も嬉しくなって愛が溢れて、楽しくって踊り始めてしまう。スキップなんかしちゃったりして……!
——例え世界が闇に染まっても!
僕と君が光り輝いて世界を照らそう。
——例え土砂降りの雨でも!
雨のリズムで愉快に踊ろう。
——君がいなくても!
きっと見つけ出してみせる。
——愛が消え失せてしまっても!
無限に生み出せるさ、僕らなら。
「らぶ!」
『ラブ!!』
「らぶ!」
『ラブ!!』
僕はそこら中にハートを振りまいて帰った。
——あぁ、なんで素晴らしい世界だ
家にたどり着くと祝祭に包まれたまま僕は眠った。この世界には絶望なんてない。希望だらけさ。世界が滅ぶなんてことがあるはずない。僕とあかねちゃんのいる愛に溢れたこの世界。この愛さえあればどんな問題だって……きっときっと解決できるに違いない。
すやぁ
眠りにつくタテノくん。
シーン
「ぐぅ……ぐぅ……」
タテノくんの周りを静寂が包み、彼の寝息だけが部屋に静かに響くのだった。
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