1-1.スタート

日付は変わり土曜日。


「ギュイーン!!」


部屋のアンプから出るギターの音。今日は学校も休みだし、特に予定も無いのでギターを弾いていた。


『少し休憩するかな』


ふと携帯電話を見ると、メールか着信があったようで、ランプが点滅していた。


誰だろう…


「着信1件 陸」


なんだ、陸か。用があるならメールでもしてくれればいいのに。掛けなおすのが面倒だ。


そのまま携帯電話を机に置き、またギターを持った。


その時。


「着信中 陸」


なんだ。そんなに急ぎの用なのか。


『はいはい?』


陸は息を切らしながら言った。


「ハジメ来てないか?」


ハジメとは笹栗 元(ささぐり はじめ)。


『いや、来てないけど?そんなに慌ててどうした?』


「いないんだよ」


そういえば学校でもしばらく会ってない気がする。


「もう、一週間も家に帰ってないらしい」


真面目な奴だし家出も考えられないと陸は言う。陸はハジメと幼馴染でずっと仲が良い。かなり心配しているようだ。


しかし、その心配の理由は…


陸は続けた。


「アイツ試したんだと思う」


インターネット上に「Life」という掲示板型の人気サイトがある。そこにはRATEの話題も上がっていた。


俺と陸がRATEに興味を持ったのも、その書き込みをヅカが教えてくれたからだ。


陸の言う「試した」とは、掲示板に書き込まれていたある噂のことだ。

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