第2話

「おねえさま! しっかりなさって!」


 ―― エメライン、わざとらしいわよ? 誰も見ていないんだもの。普段のエメラインなら嘲笑わらうところでしょ? 間抜けね、って。

 そう考えたとき、不意に、腕に鋭い痛みが走った。打撲ではない。

 太い針を穿うがたれたような…… そして血管に液体が入ってくる感覚…… 注射?

 油断した。まさかここまで、してくるとは。

 ぼやけた視界のなか、エメラインのピンクの唇がにいっと歪む。嘲笑、というよりは、会心の笑みだ。


「どう? おねえさまには、もったいないほど高価な、毒の味は?」

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