彼女が魔法少女であることを僕だけが知っている ~好きな子が世界を救う魔法少女だったので、正体を知らない振りをして、そのままお付き合いすることにしました~
第3話 恋と魔法の始まり~愛の告白は突然に~②
第3話 恋と魔法の始まり~愛の告白は突然に~②
「いいじゃん。付き合っちゃいなよ」
そう告げた彼女は、棒つきキャンディーを口に加えながら、僕たち二人をまじまじと見つめる。
身長は160cmほどある僕より少し低いくらいの、ポニーテール姿の女子生徒だ。
そんな突如現れた彼女に、僕は冷静な口調で言った。
「
というか、校内にお菓子の持ち込みは禁止だったはず。
「それを言うなら、図書室で騒いでるきみたちのほうがよっぽどマナー違反ですー」
む、確かに。それは言えてる。
どうやら彼女――僕たちと同じクラスの
「だいたい、告白って校舎裏とか人目につかないところでやりなよー。
「て、
すると、今度は意外にも
「あ、あのね! 確かに
あっ、変な人扱いは共通認識なんだ。
「で、でもねっ! すごく優しくて、わたしが図書委員の仕事を急に休んじゃったときもいっぱいフォローしてくれたし、授業休んじゃったときのノートも貸してくれたり……」
「あー、はいはい、わかったわかった。つまり、こういうことでしょ?」
「みうも
実にあっさりと、
「…………ッッ!」
そして、その言葉を聞いた逢月さんは、顔を真っ赤にして頭から湯気を出していた。
「……ええと、ごめん。
「いや、だからさー。みうもずっと
「て、
「いやいや、そんなことあるって。ってことで、
「は、はい」
「うちのみうを、どうかよろしくお願いします」
ぺこり、と僕に頭を下げる
「あ、いえ、こちらこそ」
なので、僕も彼女に習って席を立ちお辞儀をする。
「え、えええええっ!?」
そして、当の本人は置いてけぼりにされて、慌てふためく
「はい! というわけで、晴れておふたりは、あたし公認の恋人同士でーす! 今日から存分にイチャイチャしてくださーい!」
パチパチパチ~、と僕たちに祝福の拍手を送る天王寺さんだったが、あまりの急展開に、
まあ、それは僕も同じな訳なのだが……。
「ねえ、
「はっ、はい!」
どうしても、彼女に確認をしておかなければいけないことがある。
「僕のことが好きっていうのは、本当なの?」
一瞬、彼女の身体がびくんっ、と震える。
だが、彼女は精一杯の勇気を振り絞ったような声で答える。
「……………………うん。好き……だよ」
その一言だけで、僕の体温も急激に上昇する。
そうか、良かった。
僕はちゃんと、
「ひゅー。早速見せつけちゃってくれてんじゃん! いいねいいね、おふたりさん、その調子だよー」
「も、もう! 意地悪しないでよ、
異議を唱える逢月さんに対しても、いつものように軽くあしらう
相変わらず仲良しだな、と思いつつ、僕は彼女に尋ねる。
「ねえ、
「あっ、そうだった」
やはり、天王寺さんの来訪は
「ごめん、
「もちろん、大丈夫だよ。本を借りに来る人もいないだろうから、しばらくはひとりで大丈夫だと思うし」
「ありがと。じゃあ、みう。ちょっと来て」
「う、うん……」
そう言って、
それを見送った僕は、ひとまず人生の一大イベントを終わらせた安堵感からか、大きく息を吐いて椅子の背もたれに寄りかかる。
本当に、僕は彼女の恋人になれたんだ。
「(……はぁ。自惚れおって。たかが契りを交わすことになんの意味があるんじゃ)」
しかし、そんな僕の幸福感を邪魔する声が脳内に響く。
「……うるさいな。僕にとっては大事なことなんだよ」
「(ふん。まあ、良いわ。それより、あの娘を行かせて良かったのか?)」
「良かったも何も、僕に邪魔する権利はないよ」
「(なら、あの小娘ふたりが何を話しているのか聞いておけ。今後の役に立つかもしれん)」
「嫌だよ。そんな盗み聞きをするような真似はしたくない」
「(勘違いするなよ、ユズル。これは命令じゃ。やらないというなら、今すぐお主との契約を破棄しても良いのじゃぞ?)」
「……わかったよ。やればいいんだろ、やれば」
仕方ない。あまり気乗りはしないが、今ここで揉めて機嫌を損ねられるほうが面倒くさい。
僕は窓から見える景色を見つつ、目ぼしい標的を見つける。
そして、校庭の木の影に1匹、カラスが止まっていることを確認する。
「あの子でいいかな」
僕は右手の親指と人差し指を使ってOKサインを作り、その『〇』の中にカラスが収まったのを確認して、覗き込む。
「ごめんね」
そして、謝罪の言葉を述べたのち、僕は『意識』を集中させる。
「きみの身体、少しだけ借りるよ」
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