百合カップルは心霊探索が御趣味!
モロ煮付け
大垣山の廃屋
第0話 少女
少女は草根を掻き分け、覗き込む。
すでに陽は傾いており、あたりは薄暗い雰囲気に包まれていた。
「ない、ないよ〜」
と少女は泣き声半ばに声を漏らした。
少年と別れてから半刻ほど経っており、孤独を感じているのだった。
少女の服には土や草の汁などが所々ついており、時間の経過を示していた。
少女と少年は肝試しに来ていた。
部活動、オカルト研究部の調査で廃屋を写真に収めていった。
ただ、帰路に付く時に問題が発生した。
少女が忘れ物をしたと言うのだ。
もちろん少年も協力を申し出たのだが、少女は断る。
一度行ったこともあってか、少年はなんの杞憂もなく別れたのだった。
「やっぱり恥ずかしがらずにお願いすればよかったかな......」
少女が探しているのは髪ゴム。
小さな頃に少年が渡したものであった。
100円ぽっちのものでも好きな人からもらったものなら一生物の宝物だった。
オカルト研究部の心霊スポット探索、幼馴染というだけの関係から進展したかった少女が吊り橋効果を期待して二人で来たのだ。
終わったら告白、そのためにも手紙を書いて準備をしていた。
だが髪ゴムは見つからず、少女の心内に残っていたのは後悔だけだった。
(私が邪道を使ったから......)
必死に目を凝らすが中々見つからない。
段々と焦り始めていた。
「あ、あった!」
立ち上がったとともに視界が開ける。
少女は数歩先に赤く反射する物体を発見した。
目を凝らすとたしかに赤い髪ゴムだ。
急いで近づいて拾い上げる、
その瞬間だった。
「へっ?」
視界が反転する。
景色がスローモーションになり、少女のポケットから手紙が漏れ出るのが見える。
「あれ?」
強い重力が掛かり、ようやく自分が落ちていることに気づく。
ただいまさら何もできずに......
あ、あれ?
視界がぼやけて......
『ジジッ、今日の午前七時に高校生と見られる少女が発見されました。現在、警察は二日前の夕方頃から行方不明だった16歳の少女との関連について......ジジッ』
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