第6話 白虎の謹慎処分
組長の息子が
むしろ組長の息子だからこそ、危険が
俺たちが
どうして、坊ちゃんを守れなかったのか。
あの時のことを何度も思い出して夢に見るくらい、
あの事件から、
起こり得うる危機の為、人員の配置の見直しが
坊ちゃんが出掛ける際には、発信機や盗聴器を付ける。
うちら世話係三人以外にも、周囲に警備の者を配置する。
さらに、
襲われた時は、
うちらは素手でも戦えるけど、やっぱあった方が有利だからね。
出来れば、
一度、発砲事件で使っちまうと、
ケガが治るまで、坊ちゃんはお散歩が出来なくなった。
それに合わせて、世話係のうちらも
申し訳ない気持ちで、坊ちゃんに言い聞かせる。
「すみません、坊ちゃん。ケガが治るまでは、おうちの中で遊びましょうね」
「ぼく、おうち大好きだし、みんなもいるからお外出られなくても平気だよ!」
坊ちゃんは、にぱぁ~と可愛い笑顔で答えた。
もしかしたら、あの事件がトラウマで外が怖くなっているのかもしれない。
俺に気を遣つかわせないように、そんな優しいお言葉をっ?
くぅ……っ、なんてけなげで可愛いんだ、坊ちゃんっ!
天使かっ? 天使だったわっ!
そうだ!
事件の日も、有名な洋菓子店へ行く約束をしてたっけ。
「坊ちゃん、俺と一緒にお菓子作りしませんか?」
「お菓子? うん、作りたいっ!」
坊ちゃんが
作る菓子は、基本の型抜きクッキーにしよう。
クッキーは特別な材料がいらないし、簡単に出来る。
まずは、
材料はシンプルに、薄力粉とバターと砂糖と卵。
バターを数秒レンジにかけて、ほんのちょっとだけ柔らかくする。
柔らかさとしては、
バターに砂糖を加えて、ヘラですり混ぜる。
卵をよく溶きほぐして、3回に分けてバターに混ぜていく。
薄力粉はふるいにかけた後、バターにさっくりと混ぜ合わせる。
「ここはこうして、こうするんですよ」
「こう?」
「そうそう、上手」
これで、クッキー生地の完成。
な? 簡単だろ?
生地が出来たらラップで包んで、1時間くらい冷蔵庫で寝かせる。
寝かせる理由は、生地のムラをなくしてサクサクにする為。
冷蔵庫で冷やすとバターが固まって、型抜きしやすくなる。
生地を休ませている間に、クッキー型を作る。
材料は、牛乳パックと紙とペンとハサミとホッチキス。
「坊ちゃんは、どんな動物が好きですか?」
「にゃんことわんこ!」
「にゃんことわんこですね」
これも簡単。
紙に、
次に、洗って乾かした牛乳パックを3cm
牛乳パックの帯を下絵の線に沿って、形を合わせる。
牛乳パックを適当な長さで切り、つなぎ目をホッチキスで
「ほら、にゃんことわんこが出来ましたよ」
「わ~っ、可愛~い! 白虎お兄ちゃん、スゴ~いっ!」
「他にも、色んな形を作りましょう」
「うんっ! 次はちんちん描いてっ!」
ちんちんだとっ?
バッキバキに反り上がった、俺の立派なちんちんを描いてもいいんだぜ?
いや待て、落ち着け俺よ。
坊ちゃんの言うちんちんは、たぶんちんちん電車のことだ。
決して、俺の股間にぶら下がっているちんちんのことではない。
それに、
坊ちゃんのお望み通り、
他にも、ウサギやクマ、☆や♡などの型も作った。
これで、型作りは完了。
生地を寝かせている間、そのままお絵かきをして遊んだ。
1時間
生地を5mmくらいの
「坊ちゃんは、型抜きして下さいね~。俺が焼いてきますんで」
「うん、分かった~。にゃんこにわんこっ、くまさん、うさちゃんっ♪」
坊ちゃんは、楽しそうに歌を
楽しそうな笑顔が、本当に可愛い。
坊ちゃんが抜いた生地を、クッキングシートの上に並べていく。
あとは、170℃に予熱したオーブンで15分くらい焼く。
こんがりキツネ色に焼けたら、冷まして出来上がり。
「はい、できあがりです」
「わぁ、スゴい、美味しそ~っ!」
「どうぞ、お召し上がり下さい」
山盛りのクッキーを差し出すと、坊ちゃんは真面目な顔でクッキーを見つめる。
「あれ? どうしたんですか? 食べていいんですよ?」
「これ、パパと朱雀お兄ちゃんと玄武お兄ちゃんと組のみんなにも、食べさせてあげたいっ!」
ぐはっ! なんて良い子なんだ!
笑顔が眩まぶしすぎて、目が潰れそうだぜっ!
「じゃあ、みんなに配りましょうね」
「うんっ!」
坊ちゃんは明るい笑顔で、組員ひとりひとりにクッキーを配る。
「これ、みんなに食べて欲しくて、頑張って作ったのっ!」
「坊ちゃんが、自分の為にクッキーを焼いて下さったんですかっ?」
「うん! 初めて作ったからちょっとヘタクソだけど、食べてねっ!」
「とっても上手で可愛いですよ! ありがたくいただきますねっ!」
「えへへ、良かったっ!」
こんな可愛いこと言われたら、
組員達は、坊ちゃんの可愛さにメロメロになりながら、クッキーを受け取った。
「坊ちゃんの初めてを貰もらってしまった!」と、感激して食べられないヤツもいた。
いや、言い方が気持ち悪りぃな。
気持ちは分かるけど、早く食えよ。
保存料が一切入ってない手作りクッキーだから、すぐ腐るぞ。
そして、大本命の組長の部屋の前へやって来た。
「組長、よろしいでしょうか? 坊ちゃんもご一緒です」
「入れ」
どうやら、話し合いをしていたようだ。
組長は坊ちゃんを見て、柔らかい笑みを浮かべる。
「おう、どうした?
「あのね、白虎お兄ちゃんと一緒にクッキー作ったの。だから、パパにも食べて欲しくて」
「良い匂いがすると思ったら、クッキーを作ったのか。青龍は、スゴいな」
組長は坊ちゃんの前でしか見せない父親の笑顔で、坊ちゃんの頭を撫でた。
俺がクッキーの山を差し出すと、さらに笑みを深くする。
「色んな形があってどれも可愛いし、美味しそうだ。さっそく、いただこうか」
「はい、召し上がれ~っ!」
「うん、とっても美味しいぞ。青龍が作ったんだ、マズいはずがない」
「ホント? 良かった~っ!」
父親である組長に褒められて、坊ちゃんもめちゃくちゃ嬉しそうだ。
組長はうちらにも、声を掛ける。
「てめぇらも食え」
「「「へい! ありがたく
「ぼくも食べる~」
うちらは5人は、坊ちゃんが作ったクッキーを食べた。
分量や焼き時間は俺が正確に計ったから、間違いないんだけど。
坊ちゃんが作ったクッキーだと思うと、いつもより何倍も美味しく感じられた。
きっと、世界一美味しいクッキーに違いない。
坊ちゃんはクッキーを食べながら、俺に向かってにっこりと笑い掛けてくる。
「みんなで食べると、とっても美味しいね! 白虎お兄ちゃん、また一緒にお菓子作ってくれる?」
「はい、喜んでっ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます