第7話
『写真部』と書かれた木札が扉の横に設置されている。
コンコン、とノックをすると、「はーい、どうぞ」と軽やかな女性の声が返ってきた。
扉を開けると可愛らしい女子生徒が扉の前まで出てきており、四人を出迎えている。
「す、すいません、あの……私達、部活見学に……」
「えっホント? どうぞ、どうぞ!」
その女子生徒は嬉しそうに笑う。
部室の奥に進んでいくと、中にいた部員達は三者三様の反応をしてみせた。
「……見学希望者が四人……? 私たち……三年生が二人で、二年生が三人……なにがなんでも一年生を二人以上引っ張らないと、同好会になっちゃうって……今、会議してたの……」
部室内にいた一人の女子生徒が、まるで信じられないといった様子で言った。
シューズの色が青色だから、きっと三年生だろう。
その女子生徒は目尻にかけて少し上がった瞳はどこか気の強そうなイメージを持つが、対称的に穏やかな笑みを浮かべている。
「私は部長の
「
「私は霧島つかさです。よろしくお願いします!」
「俺が
新菜が「よろしくお願いします」と一声加え、丁寧にお辞儀する。
すると弥生は新菜と新琉の顔を、興奮した様子で交互に見比べる。
「まさか、君たち、噂の激カワ双子ちゃん!? 噂に違わず、可愛い……」
弥生が惚れ惚れとした様子で呟く。
(三年生にまで評判が届いているのか……さすがだな……)
新菜と新琉自身は面と向かっては言われなれていないのか、二人揃って顔を赤く染めた。
──その後、弥生に促されるまま、空いている席に四人は座った。
「改めて、私が三年生でこの写真部部長の吉野弥生です。よろしくね」
弥生はポニーテールを左右に揺らし、ニッコリと笑った。
笑うと頬にえくぼができる。“快活”という言葉がよく似合う。
「副部長が僕です。黒島直太です。よろしくね」
黒島直太がペコリと頭を下げる。
穏やかで物腰の柔らかい話し方だ。
「吉野さんは意外とスパルタで怖いから、なにかあったら僕に言ってね」
直太がそう言った直後、直太の尻付近に蹴りが入ったのを飛鳥達は見逃さなかった。「痛っ」という直太の声が追加される。
「後輩には優しいわよ!」
関係性を知らない飛鳥達は一瞬、ヒヤリとしたが、その後楽しそうに笑い合う弥生と直太の姿を見ると、仲が良いうえでのふざけあいらしい。
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