1:Let It Happen
1:運命は眠る
「大人になったら、私と結婚しようね」
「ダメーっ! みつはが結婚するの!」
そうやって〈俺〉の両腕を引っ張るのが〈
俺たち三人はいわゆる〝
家が近所で、
親が同年代で、
同じ年に生まれて――
俺たちは三つ子のように育った。
まるで見えない串に刺さった三色団子のように。どこに行くにも何をするにも、いつも一緒だった。一人が新しいおもちゃを手に入れれば他の二人も欲しがったし、おままごとなどするとなれば決まってどちらが俺と結婚するかで取り合いになった。
二人に両手両足を引っ張られすぎたせいで身長が伸びたんだな――と、俺の育ての親である叔母が口癖のように言うものだから、こと身長の話となると二人は必ず叔母の話を持ち出して理不尽に感謝を求めてくるので、そこは否定したい。
ともかく、俺と柳花と三葉はよくある仲良し三人組であり、それは小学校に上がっても変わらなかった。それぞれの家族写真には当たり前のように三人一緒に写っていたし、誰かの家でちょっとした行楽に行くとなれば他の二人も当然のようについて行った。親戚の集まりにしれっと混ざっていることもよくあったので、お互いの親戚の顔ぶれも大体把握している。
その頃の俺はまだ、この関係が永遠に続くものだと素朴に信じていた。
柳花と三葉も、きっと同じように思っていたはずだ。
まだ誰も、恋や愛を知らなかった頃――人生で最も平穏な時代のことである。
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