appendix 轢かれて入院した場合、いくら「出費」するか?

少し生々しいお金の話しになるけれど。

たとえば一般的なサラリーマン、一人暮らし(でなくとも良いが家族の援助の有無で費用は変わるので今回はない場合で)どのくらいの出費を覚悟するかのお話。

労働(通勤)災害の場合で。


一番先に結論から書いてしまうと5〜60万くらいないと、悲しい思いをすると思う。


私の場合で言えば、多少の保険知識有りで、入院中でもネットでの調べ物等はできる状態。なので最悪のケースにならないように早め早めに手を打っていた、にも関わらず、現在まで三ヶ月以上無収入。


休業補償は、全ての手続きが終了して労働基準局に書類を提出してから最低一ヶ月、長ければ数ヶ月かかるので、まずこれをアテにしてはいけない。

対策としては書類を早期提出する事なのだが、これがかなりの無理ゲーになっている。

ゲームでレアアイテムを入手する為にいくつもの手順を踏んで行くのと似ている。


まず、今までの自分の「標準報酬月額票」なるものを作らないとならない。源泉徴収票や給料明細書でなんとかなりそうなものだが、そこはお役所なので駄目。

出勤日数と給料や諸手当を照らし合わせ、一日ごとに自分が「本来受け取るべき金額」を計算する。


複数箇所から給料をもらっている場合、その事務所毎に必要になる。自分で計算できなくもないが、はてしなく面倒くさい上に、どこまでを「報酬」に含むかの記述がかなり曖昧なので、会社の経理に任せてしまおう。

更に案内には書いていない添付書類もいくつかあるので(詳細は窓口で聞け、というやつだが、誰もがひょいひょい歩いて役所の窓口に行けると思うなよっ!最初に書いておけっ!とプチ激怒)最初に経理のお姉さん(でなくともね!)に、よーく事情を話して、協力してもらうのが良いと思う。


その書類が出来たら「石板一枚」手に入れた状態だ。


次に、警察から「事故証明書」をもらい、併せて添付するのだが、ここでトラップ。事故の証明をもらう為には警察にまず届けを出すわけだが、そこで医師の「診断書」が必要になる。当然病院によって事情は異なるが、申請して大体一ヶ月は待たされる。

無事届いたら警察に提出。事故として警察のデータバンクに登録が済んだら、「事故証明書」ゲットだ。

当然これもかなり日にちがかかる。もちろん診断書も事故証明も有料で自腹だぞっ、泣けて来るね。


これらの書類を揃えて、ようやく労働基準局に書類が出せる。で、前述したように手続きをしてくれているはず、だが私の場合、夏の終わりの事故で今現在未だに音沙汰はない。フッ。


ああ、それから加害者や加害者側の保険会社はこの間、一切何もしてくれないので当てにしないように。

したくても、被害者側の症状が固定しない限りできないのだ。いまは存在しないものとして扱う他ない。


このケースで一番頼りになるのは、自分の加入している保険会社だろう。書類さえ揃えればすぐに保険金を振り込んでくれる。書類を揃えるのに二ヶ月かかったが、提出後は数日で対応してくれた。

いい保険に入りましょう!


次にさらっとだが支出の話しを。


手術前、気絶寸前だろうが血だらけだろうが、こちらに意識があればいくつもの書類にサインさせられる。


その時に、入院中の簡易的な介護サービスと契約しなければならない。所謂入院セットという、体を吹くタオルとか使い捨ての下着とかのサービスだ。コースがいくつかあり、これは使えるタオルの本数だとか色々お値段によって違ってくる。まさに地獄の沙汰もなんとやら。


この状態で細かく内容をチェックできる患者はまずいないだろうから、大体は後から困らないように一番高いコースを選ぶはず。

1日にすれば1000〜2000円程度の金額だが、これは戻ってこない完全自腹。医療費控除の対象にもならないので、完全に轢かれ損になる費用だ。


松葉杖、プロテクターなどは基本買取。前者は一万くらいだが後者は十五万近くかかる。自腹では無いが立替て払う必要があり、例によってお役所に返金の申請をしているが、これもまだ音沙汰がない。


あとは、私の場合は退院時やリハビリ通院の時はタクシーを使うしかなかったが、基本的にタクシー代は出ないので全部自腹になる。公共交通の分だけは、最後に申請すれば数ヶ月後に戻ってくるそうだ。その間はまたも立替。


最後になるが、非常に怖い点が二つ。


一つは、相手が逃亡。もしくは無保険の場合。

これ、詰みに近いかも。警察と会社を交えて裁判も視野に入れて進めて行くしかない。弁護士必須。


二点目、職場がブラック。

まず労災申請を嫌がる、標準報酬月額票などの作成を拒む、そもそも制度を知らないケース。

そしてこの場合、仮に弁護士などを入れて争い、労災と認めさせたとしても更にトラップがある。


先から書いている「休業補償」。これは厳密に言えば医師が就業を不可能と判断した期間ぶんが補償される。

つまり骨が折れてようが歩けなかろうが、会社側が「その状態でもいいから出勤しろ」と言った場合、これは就業可能と判断されるのだ。


実際に出勤した後に業務が出来なかったとしても、それはもう当人と会社の問題で医師も役所も介入できないのだそうだ。怖い話しだが実際そういうケースもあるらしい。


幸い私はどちらのケースでもなく助かった。


         ◇◇



いやあ、お金の話しってイヤですね。

今回は特に面白い話しでもなく、書かなくてもいいかなーとは思ったのですが、別サイトで「そのへんも知りたい」という声もありましたので、まあ何かの参考になればと書いておきました。


追記 最後に一つ忘れてました。給料0の場合、社会保険料はどうなるか。答えは天引きできない分は別途払う、です。毎月給料日が来るたびに0円の明細書もらって、数万円を逆に会社に振り込んでマース!

給料日マイナスワンて奴ですね。

酷い話だ。

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