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 道なりに歩き続けると、交差点に着き、北大通と同じようなバスにトラック、乗用車といった車が信号の前で列をなしているのが見える。目の前に伸びている横断歩道を渡り、円柱状の大きなビルの大きな建物の側を通る。

 その建物ではイベントが定期的に開催されており、その日も何かしらのイベントが開催されていることを告知するポスターが貼られていた。建物と駐車場の間の道路を抜け、真っ直ぐ、奥へと進んでいく。

 駐車場の隣にある建物は元は図書館だったもの。今は北大通の方へと移動し、新しくリニューアルされた建物が使われている。そのため市長が要請し、解体工事を行っているようだ。

 工事現場から出てくるかもしれない大型車両に気をつけながら歩道を道なりに進んでいく。工事現場のある敷地近くから離れていくと、大きな木に日光が遮られ、少し暗くなった道を通り始める。

 木陰の下で小石を蹴って転がしながら進む。歩道の曲がり角から広がる、一つの公園があった。


 幣舞公園。遊ぶための公園と言うには遊具がなく、数脚のベンチとそのベンチを照らす日差しを少し遮る屋根と、何かを記念するいくつかのモニュメントがあった。  

 公園の奥に建てられた銅像の人物は、北海道全体の市町村を命名した松浦武四郎である。北海道全体の命名に携わっているのだから、勿論釧路の命名にも携わっているのだ。彼の像が、釧路を一望するよう、入り口の方向に背を向けた状態で建てられている。どういうわけか、彼の像が見ている先には木々が生い茂っているため、見渡すにしては緑が多すぎな気がする。

 ベンチに座り、一度水分補給を行い、ゆっくりと休む。

 数分経ち、多少の疲れも飛んだところで勢いよく立ち上がり、近くの柵に手をかけながら釧路を一望する。目の前に広がるのは、最初に通った北大通と、幣舞橋。霧もさっきより薄くなったおかげか、北大通に建っているビルがよく見える。少し下を向けば、ロータリーと道路を回る車の姿があった。

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