第5話:紫ローブ
ほかの人間に見られたらまた殺されかけるかもしれない
一人だったら逃げれるが、小さな女の子も一緒となると話が変わってくる。
女の子が背負っていた茶色の鞄の中に入れてもらうことにした
女の子の名前は何ていうんだろう?話すことができないから聞くことができない。
女の子は何で路地に一人でいたんだろうか。
聞きたいことがたくさんあるのに話せない
(話せたら便利なんだけどなぁ。この世界のことが何もわからないのも不便だなぁ)
なんて考えていたらいつの間にか大通りに出ていた。
鞄の隙間から少し周りの様子を見る
あ。俺がさっき逃げ出した場所だ。
まだたくさんの兵士が残っている
「まだ見つからんのか!!!」「申し訳ありません。まだ遠くには行ってないと思うのですが…」「休みのやつにも連絡してくまなく探せ!!!」
髭の兵士のおっさん。焦ってるなぁ。
(女の子と会えたのはラッキーだったな。あのまま一人だったらまた見つかっていたかも)
それにしてもこの町の人たちは女の子のことが気にならないだろうか
小さい女の子が一人で歩いているのも不自然なのに、洋服も体もぼろぼろだ。
日本だったら不自然すぎて通報案件だぞ…
「見つからないですか」
ん?何か周りのやつと服装が違うやつがいるな
紫色のローブに太陽の刺繍が入っている服を着て、腰には重たそうな剣。
髪は銀色で、目は閉じている。
(うおおぉ。異世界主人公みたいなカッコよさだな。)
俺もかっこよく転生したかったなぁ。 猫って…
「アンエイド様。申し訳ございません。この失態は…責任をもって…」
「あぁ。大丈夫ですよ。あなたたち一般兵士が捕まえれるとも思ってないですし。僕でも逃げられたと思います」
(優しいのか冷たいのかわからないやつだな)
ん?こっち見てないか?目…合ってる?いや、目開いてなし違うか…
あ。こっち来てる。
「すみませんそこのお嬢さん。」
「えっと…私ですか?えっと…」
女の子はきょろきょろ周り見るが、お嬢さんという年の子はこの子しかいない
「ええあなたです。先ほどここに黒猫がいたみたいなんですが、何か知りませんか?」
「えっと…わたし…」
(やばいなこれ…詰んでるか)
「よろしければそちらの鞄の中を見せてもらってもよろしいですか」
男の手が鞄に触れようとしてる
(やばい……ッ)
「アンエイドさま!こちらで猫がいたと情報が!すぐに来てください!」
男の動きが止まる。鞄まであと一センチのところ
「すぐに行きます」
男は女の子にお辞儀をしてすぐに兵士のもとに向かう
(あぶなかった。あいつ何で目開いてないのに鞄持ってるってわかったんだ。)
女の子の体が少し震えている。怖かっただろう。少し早歩きで足を進めている
(あいつらが黒猫を探してるって聞いたし、俺と一緒にいるの怖いだろうな)
少し歩いたところで女の子の足が止まる
鞄の中から俺を出す
町から少し離れた森の中か?ここに俺を置いていくのかな
「大丈夫?鞄の中狭いから嫌じゃない?もうちょっとで着くから待ってね」
俺のことを置いていこうとしてるんじゃないのか?
「あと少しだから頑張ろうね」と
俺の頭を何度か撫でて鞄の中に戻す。
女の子の手はやっぱり少し震えていた
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