Episode11 不穏な空気
あれから3日後。リヨンの家にはたくさんの人が門の前にいた。なにかあったのだろうか。そう思ったコムロは人混みを押しのけるように門の中に入っていった。
コムロ「おはようございます。この人混みはなんでしょう?」
執事「それがリヨン様が3日前に町人に向けて歌った音楽のせいで身内が亡くなったという人達の集団でして…」
コムロ「つまり、リヨンさんはションソン・デ・ラ・モーンを歌った可能性があるということですね」
執事「あまりそう考えたくはないですが可能性としては高いかと」
コムロ「少し外の方から事情聴取をしてきます」
そういうとコムロは門の外にいる群衆に声をかけた。まずはなぜここにいるのか。何があったのか。聞くこと全てを聞いた。結果は執事の言った通り、リヨンに助けられた人達が軒並み亡くなってしまったということであった。
コムロ「やはり、リヨンさんがションソン・デ・ラ・モーンを歌った可能性が高いな。でもトロアの身内を助けた時はなぜトロアも身内も亡くならなかったのだろうか」
コムロはあの日のことを思い出し始めた。
たしかに、あの時のトロアは少し変だと思っていた。リヨンが来てもなぜかすぐに家に入れてくれなかったり、リヨンが歌い終わると小さな声で「計画通り」と言っていた。コムロは一旦、トロアのところに向かうことにした。
コムロ「すみません。トロアさんいらっしゃいますか?」
トロアの家族「今トロアは外に出ています。おそらくヴィヴィエ公園に向かったと思われます」
コムロ「ありがとうございます」
コムロはこの街の東側にあるテッド・ドール公園の次に大きいヴィヴィエ公園へ向かうことにした。トロアの家からは少々離れており、到着まで少し時間がかかる。30分くらいかけてヴィヴィエ公園にやってきた。そこにはただポツンと立つ小柄な男性が。いや、何かオーラを
コムロ「トロア…?」
トロア「よし、計画は順調に進んでいる。死人は15人と聞いた。僕の目標まであと15人…!リヨンは素直な女だ。このまま歌い続けてもらおう…!」
コムロ「そういう事だったんだな」
トロア「君は…!」
コムロ「コムロです。以後お見知り置きを」
コムロ「今の話しっかりと聞かせてもらったぞ」
トロア「くそ、ついにバレたか。なら仕方がない。お前もリヨンと同じようになってしまえ!」
トロアは突然何か機械のような物を取り出した。そこまで大きくなく、手のひらサイズと言ったところだ。
コムロ「それは何だ!」
トロア「これは歌声変換機だ。歌う者の声を全てションソン・デ・ラ・モーンにする優れものだ」
コムロ「そんなもの今すぐ捨てろ!」
トロア「そう言って「はい、捨てまーす」っていう馬鹿がいると思うか?」
コムロ「やはり、口では駄目か。ならこいつの出番だな」
コムロが取り出したのは研ぎ澄まされた剣だった。
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