第一話『それを人は魔術と呼ぶ(There Ain't No Such Thing as a Free Lunch)』

「なぁ成仁、アードゥル・ファッロバーイって知ってるか?」

 自分ですら気でも触れたんじゃないか? と疑うような言葉を、俺は比較的仲のいいクラスメイトである袴田成仁はかまたなるひとに訊いてみた。

「ああ、ゾロアスター教の第一聖火のことですか? けど、どうしてまたそんなもののことを?」

 別に知っていると思って聞いたわけではないのに、成仁はまるでそれを知っている方が常識であるかのように、不思議そうな顔で聞き返してくる。

「なんでそんなこと知ってるんだよ……」

「ポーランドのゴスロリイベントで、第一聖火をモチーフにしたデザインの衣装があっただけですよ」

「いや、そうはならんだろ」

 成仁は腰まで伸びる銀髪、人形のような可愛らしい顔立ちをしていて、カラコロと笑う仕草は、クラスの中でも群を抜いて可愛い部類に入るだろう。

 ――だが、成仁の性別は男である。

 俺も初めて知った時はかなり面食らったものだが、本人曰く女装はただの趣味なのだそうだ。

「それより、どうしてボクにそんなこと聞いたんですか?」

「俺の知ってる人間の中で、一番海外文化に詳しそうだったから」

「単純な理由ですね……」

 成仁は呆れたような反応を示しながらも、決して邪険にはしない。

 俺が初めて会った時から、成仁は優しくてユーモアも愛嬌もある、所謂友達になりたいと周りから言われるタイプの人間だった。

 ただ俺が成仁と仲良くなりたいと思ったのは、もっと別の理由だ。

 ――そしてそれは、とてもではないが、あまり褒められたような理由ではない。

 これまで俺は、成仁が人と遊びに行ったり、自分から話しかけに行ったりするようなことをほとんど見たことがない。

 まるで誰と接するのも上っ面だけで、本心から人を信頼していないように見える。

 それで察してしまったのだ。

 成仁も俺と同様に、過去に何か大切なものを無くした人間なのだ、と。

 それが何なのかは知らないし、聞こうとも思わない。

 ただその距離感というものが、俺にとってはどうしようもなく居心地が良かったのだ。

「それはそれとして、善養寺くんはどうして第一聖火なんてもの調べてるんです?」

 なんて答えようか迷った末、どうせ信じてもらえないことを前提に、ありのまま話してみる。

「もし、もしだぞ? 赤髪の無愛想な魔法少女が、その第一聖火を呼び出してロープで首を括ったサラリーマンの幽霊を倒したって言ったら、信じるか?」

「なんですか、その悪夢みたいな光景。大体、大抵の魔法少女には守秘義務があって……」

 成仁がそんなファンタジー作品の基本ルールを丁寧に説明してくれているが、そんな説明よりも俺は廊下の外にいる、ある少女に意識を向けざるを得なかった。

 何故なら現在進行形で廊下を歩いていたのは、噂されていた当人だったのだから。

 俺は思わず、ガタッと椅子を蹴飛ばさん勢いで立ち上がる。

「……いた、魔法少女」

「は?」

 何を言ってるんだ、とでも言いたげな声をあげる成仁をその場に残し、周囲の人間の目も気にせず大急ぎで教室の入り口に猛進する。

「ちょっ⁉︎ 善養寺くん⁉︎」

 本来ならそんな必要全くないのに、何故か成仁が後ろからついてくる。

 そして教室の入り口からひょっこりと二人で顔を覗かせて、その赤髪の女子生徒を後ろから見つめる。

「善養寺くん。まさか、あの赤い髪の女の子を魔法少女って言ったわけじゃないですよね?」

「いや、間違いなくアイツだ……」

 帽子がなかったとしても、その長い赤髪とスラッとした肢体は嫌でも印象に残る。

 だがチッという、すぐ傍から聞こえてきた舌打ちのような音が、俺の意識を魔法少女から隣にいる成仁の方へ向けさせる。

「成仁、今舌打ちしたか?」

「ぜ〜んぜん? 気のせいじゃないですか?」

 いっそ清々しいほどの笑顔を浮かべながら、成仁はそう言い切った。

「……したよな、舌打ち」

「してないですよ、舌打ち」

 このままでは埒が明かないので、敢えて質問を変えてみる。

「じゃああの女の子を見て、どんな人間だと思った?」

「高飛車でプライドだけは高いくせに、実力が伴ってない意識高い系の残念な人だと思いました!」

 成仁は平気な顔で、相当火力の高い毒を吐く。

 もし成仁がソシャゲのキャラとして実装されるのなら、毒をばら撒く闇属性のデバファーになるだろう。

 なんて荒唐無稽なことを考えていると、噂の当事者である魔法少女様が歩みを止め、不愉快そうな顔で振り返った。

「そこ! 聞こえてるわよ!」

「当たり前じゃないですか、聞こえるように言ってるんですから♪」

 いつになく交戦的な成仁と赤髪の女生徒を交互に見比べながら、状況が呑み込めない俺は一人困惑するしかない。

 二人のやりとりは少なくとも初対面には見えないし、関係性が分からないんじゃどう話しかけるべきかなんて分かったものじゃない。

「この、独学の三級呪術師風情が……!」

「先輩として後輩には優しくしてくださいよ緋紗子先輩♪ さっきから呪詛返しが痛いですよ?」

 俺を置き去りにしたまま、二人の会話はヒートアップしていく。

 それでも、一つ分かったことがある。

「……成仁も魔法少女だったんだな」

 俺がそう呟くと、成仁が俺の脇腹を真顔で軽く小突き、赤髪の女生徒――改め、緋紗子の元まで駆け寄って何やら耳打ちする。

「は? 嘘でしょ?」

 しばらくして緋紗子は、やや不満そうにしながらも納得したように頷いた。

「……こうなったら、アレしかないわね」

「ですね、ボクもアレがいいと思います」

 二人の言うアレが何か分からない不安に駆られながら、俺は聞き返した。

「あの〜アレってなんなんですか?」

 その問いに答えることなく、二人は俺を両側から挟み込んで腕を拘束すると、どこかへ連れていきはじめた。

 当然ながら、その日の出席名簿が早退扱いになったのはまた別の話である。



「あたーらしーい、あーさがきた。きぼーの、あーさーが……」

 街中よりもずっと涼しい森の中にある館の前で、車椅子に乗っている両足の太ももから先がない少女が、どこかズレた音程の歌声を響かせていた。

 だがしばらくすると歌うのをやめ、館の入り口までしっかりと舗装された道の先にいる俺たち三人の方に向かって大きく手を振った。

「おお〜っ! ヒサッピとなるちゃんが一緒に来るなんて珍しいね!」

 また独特な渾名のセンスをしているその少女は、実際の歳よりも少し幼いような、けれどどこか大人びているような、不思議な雰囲気の持ち主だった。

 緋紗子よりも橙色に近い赤毛を一本結びにして、白いシャツと褐色のスカートという組み合わせは、病人のようにも落ち着いた大学生のようにも見える。

「おはようございます凌子さん!」

「うん! おはよう、なるちゃん! ……ところで、そこの見覚えのない男の子は誰?」

 その見覚えのない男の子こと、俺は凌子と呼ばれた少女に目もくれることなく空を見上げていた。

 何故ならこの館を中心にした百メートル前後の範囲が半透明の膜のような何か――もっとも見覚えのある形に例えるなら、神社の鳥居や盛り塩を起点にした時に出来上がる透明な壁に類似したものが、辺り一帯を覆っているのだ。

 しかし普段見覚えのある結界と少し違うのは、それが正方形ではなくドーム状に展開されている点である。

「……この館を囲ってる結界は、どうして正方形じゃなくてドーム状なんだ?」

 と、思わず呟いてしまう。

 だがそれ以上に気になるのは、ここからは普段見慣れた空の上にある光の川が見えないということだった。

「それは魔術系統の差だよ」

 別に答えを求めていたわけでもない俺の独り言に対して、凌子と呼ばれていた少女が饒舌に解説し始めた。

「日本で使われる結界の原型は仏教に由来するサンガなんだけど、私が使ってるのは西洋の召喚術に使われる魔法陣を応用した、魔を祓う円形結界なんだ。ちなみに、魔法陣が円形である理由はそれそのものが完璧な存在として邪悪を祓う存在だからとされていて……」

「なるほど——つまりどういうことっすか?」

 つい癖で年上の先輩に使うようなエセ敬語で質問すると、凌子は僅かに口角を上げてこう答えた。

「――つまりね。魔術師なんだよ、わたしたちは」

 凌子の言葉に続くように館の扉が開き、その奥からやってきた俺と同じくらいの身長の石人形が、凌子の座っている車椅子の手押しハンドルを握った。

「ようこそ、薔薇園ローゼンハイヴへ。わたしたちはキミを歓迎するよ」


 

 漆喰の白い壁と、フローリングの上に敷かれた赤い絨毯の上に大きな円卓があった。

 奥に置いてある古い本が納められたガラス戸の本棚と、天井から吊り下げられてるクラシックなシャンデリアは、改めてここが魔術師の邸宅なのだということを意識させる。

 そんな応接間に通された俺はというと、畏縮したように縮こまり、成仁と緋沙子が事情を説明し終えるのを、目の前の机に置かれている琥珀色の紅茶を眺めながら待っていた。

「なるほどね……」

 凌子はそう言うと、露骨に大きなため息を吐いた。

「なるちゃんならともかく、なんでひさっピが一般人の初期対応をミスるかな~」

 その評価が不服だったのか、成仁が露骨に嫌そうな顔をする。

「えぇ、ボクの評価ってそんなに低いんですか……」

「成仁、アンタそれどういう意味よ!」

 一方の緋紗子は、苛立ちを隠しもせずに成仁に詰め寄る。

「はい、そこまで~! 大体、太古の昔から神秘は秘匿するものって相場が決まってるでしょ?」

 諭すような言い方をする凌子に対して、バツが悪そうな顔をしながら緋紗子がティーカップに口をつける。

「そもそも薔薇園ローゼンハイヴの教義は、隠された知識を万人に平等に開示することじゃないですか」

「はい零点」

 凌子はどこかで聞いたことがあるようなセリフで、緋沙子の言い分をバッサリと遮った。

 あまりのテンポのよさに、思わず失笑を漏らしてしまう。

 もちろん、すぐに緋紗子がこちらを睨んできたので、視線を逸らしながら紅茶を口に含んで誤魔化す。

「あのねひさっピ、わたしたちは義賊であってテロリストじゃないの。無作為な情報開示っていうのは、それこそ暴力に等しいんだよ?」

 紅茶に角砂糖とミルクを入れて混ぜながら、凌子が真面目なのかそうじゃないのか微妙に判別しずらいトーンで語る。

 というか、義賊とかテロリストとかいう言葉が普通の会話に出てくるとか、もしかして俺は想像よりも物騒な組織に目をつけられてしまったのではないか? と、内心不安になってくる。

 そもそも俺は、どうしてここに連れてこられたのかも理解していないのだ。

 緋沙子がグッと押し黙るのを横目に、凌子は一口だけ紅茶を飲んで唇を湿らせてから、机の上にカップ戻すと、改めてこちらの方を見て優しく微笑んだ。

「そういう訳だから、司くんの身の安全はわたしたちが保証するよ」

 そう言われて俺は、膝の上でギュッと両手を握った。

 よく分からないままここに連れて来られはしたが、別に保護してもらうために来た訳ではない。

 俺にとって幽霊というのは、交通事故に遭うのと同じ確率で常に潜んでいる驚異であって、人から守ってもらうようなことではないのだ。

 ただ……初めて緋紗子の魔術を見た時から、自分もあんな風に人を救う力が欲しいと思ってしまったのは事実だ。

 もし自分も魔術が使えるようになったら、きっと両親の分も多くの人を救えるはずだ。

「あの、俺にも魔術師になる才能って……あるんすか?」

 なれる……という言葉を期待していたわけではないが、その淡い期待を緋沙子は即座に否定した。

「あるわけないでしょ。だってあんた、弱いもの」

「うっ……」

 それは自覚があるが、面と向かって言われるとかなりものがある。

 別にこっちも好きで弱者をやってるわけではない。

 そんなあまりにも早い緋沙子の即答に、成仁が言い返す。

「そ、そんな言い方ないじゃないですか!」

「じゃあ成仁から見て、こいつが強いように見えるの? 魔術の知識は皆無、魔力量は貧弱。あるのはやる気と根性だけですなんて、魔術師を嘗めてるとしか言えないわ」

 お世辞にも緋沙子は性格が良いとは言えないのだろうが、話していることは的を射ているのだろう。

 成仁までも、バツが悪そうに押し黙る。

「俺ってそんなに弱いのかよ……」

 握りしめていた両手にさらに力を籠める。

 自然と肩に力が入って、体が震えた。

 今となっては、両親が死んだことそのものに後悔はない。

 それは事故で、誰にもどうしようもないことだったからだ。

 つまるところ、俺の抱えている後悔というのは、自分がその場にいなかったことの方なのである。

 帰ったらもう既に家が焼けていて、家族は全員死んでいましたなど、納得できるはずがない。

 だから緋沙子の弱いという言葉は、どんな罵倒よりも深く俺の心に刺さる。

「……司くんは、どうして魔術師になりたいのかな?」

 諦めや苛立ちといった表情を浮かべる他の二人とは対照的に、柔らかい微笑を浮かべながら凌子が聞いてくる。

「それは、魔術を使えた方がより多くの人間を助けられると思ったから……です」

 その言葉に嘘偽りはない。

 むしろそれ以上の理由もそれ以下の理由も、俺は持ちあわせていなかった。

 凌子はその答えに一瞬だけ眼を輝かせると、こう聞いた。

「……一つだけ質問していいかな? ひさっピの魔術の弱点が何か、説明できる?」

 予想もしていなかったようなことを聞かれた俺は、あんな威力の高い魔術に弱点などあるのかと、昨日の夜のことを思い出す。

「えっと、二秒くらい呪文を詠唱する時間が必要で……威力が高すぎるから人の多いところでは使えない」

 そして一番の弱点は――

「そもそもあの魔術って、自分の視界内にある炎しか操れないんじゃないか?」

 そういう意味では、あまりにも分かりやすい弱点だな。

 などと考えていると、悔しそうに緋沙子が机の上を叩いた。

「説明してないのに、なんで分かるのよ!」

「だってお前、一回も俺の方に目を向けなかったじゃん」

 そのやりとりを見ていた凌子は満足そうに大きく頷いて、

「うん、合格!」

 と、嬉しそうに言った。

「え?」

 まだ『合格』という言葉の意味が自分の中に落ちてきていないのに、凌子は嬉しそうに続けた。

「いや~つかさ、間違いなく才能あるよ!」

 つかさぴょんとはなんぞや? という疑問も解消されない中、緋紗子と成仁がそんな馬鹿な、とでも言いたげに顔を見合わせた。

「ねぇねぇ! もしつかさぴょんさえ良ければ、うちで魔術師にならない⁉︎ 霊視できる魔術師って貴重だから、わたしとしては是非スカウトしたいんだけど!」

 普通ならここはじっくりと悩むべきことだし、そう簡単に決めていいことでもない。

 しかし――

「そこまで言うなら、なります。魔術師」

 自分でも拍子抜けしてしまうほど、あっさりとそう答えてしまった。

「はぁ⁉︎ アンタ本気⁉︎」

 緋紗子がバンッという大きな音と共に、再び机に両手のひらを叩きつけた。

「本気も何も……元々俺は魔術について教えてもらうためにここに来たんだよ」

 無論、ここまでそんなことは一言も言ってなかったし、今決めたことなのだから仕方ない。

 凌子はゆっくりと目を閉じると、満足げに頷いた。

「じゃあ今この時を持って、善養寺司を一級魔術師である石見凌子いしみりょうこの名の元、薔薇園ローゼンハイヴの四級魔術師として認めま〜す」

 そんな軽いノリで宣言すると、凌子は石人形にガラス戸の棚から一枚の書類を持ってこさせた。

「はい。これが契約書、そこに書いてる条項を破ったら心臓が止まる――」

「止まるのか⁉︎」

 唐突に訪れた物騒な警告に思わず、素っ頓狂な声をあげてしまう。

「……まではいかないけど。これは呪術的な契約で、破るとそこそこ手痛いペナルティがあるから、よく読んでからサインしてね」

 この凌子という人物は全部先回りして説明してくれるし、誠実ではあるのだが……少なくとも営業を掛けるのは向いてないだろうな、などと考えながら書類にサインする。

 それを受け取ると、満足そうに頷いて凌子はにっこりと微笑んだ。

「それじゃあ、これからよろしくね。つかさぴょん」



「わたしはこれから色々手続きがあるから、後のことはなるちゃんとひさっピに訊いてね」

 凌子は先ほど提出した書類を片手に、こちらの方へ手を振りながら石人形に車椅子を押されて廊下の奥に消えていった。

「ありえない! なんでこんなヤツが一発で凌子さんの試験をパスしてるのよ! 私は二級への昇格試験で二回は落とされたわよ⁉」

 今に始まったことではないが、まるで当然の権利のように緋沙子は俺のことを貶してくる。

「むしろたった二回で合格できたんですか? ボクなんてようやく三級なのに……」

 ため息を吐く二人を見ながら、俺は自分の考えている疑問をそのまま口にした。

「さっきから気になってたんだが……三級とか四級とかってなんなんだ?」

 その疑問に答えたのは、成仁だった。

「魔術師の格の話ですよ。等級は四級から一級まであって、数字が小さいほど優秀な魔術師として扱われるんです。例えばうちの支部長である凌子さんは一級ですし、ボクは三級、資格を取得したばかりの善養寺くんは四級の魔術師見習いというわけですね」

「なるほど、そういうことか……ん? ちょっと待て、俺はまだ魔術を一つも覚えてないぞ?」

 冷静に考えてみれば、魔術が使えないのに四級というのも不思議な話だ。

 それとも、四級は本当に魔術師見習いで、道具の使い方や勉強が大半で魔術を使わせてもらえないのだろうか?

「当たり前でしょ。四級の取得条件は、二級の魔術師三名か、一級の魔術師一名が魔術を学ぶに相応しいと推薦するだけですもの、その方法は面接から実技披露まで様々よ……要は試験官の気分次第ってことね」

 昨日の《第一聖火アードゥル・ファッロバーイ》のような明らかに危険な魔術の管理がそんなアバウトでいいのかと困惑するも、魔術師の世界ではそういうものなのだろうと、無理矢理自分を納得させて話題を変える。

「成仁が四級になった時の昇級試験って、どんな感じだったんだ?」

「ボクは四級の昇級試験を受けてませんよ? 魔術を学び始めてから一か月くらいかけて自作の術式を組んだものの、凌子さんからは及第点と言われてしまって……」

 それが凄いことなのかはイマイチ基準が判らないが、緋沙子にとっては大問題だったようで、体の奥底から湧き上がる何かを表現するようにワナワナと肩を震わせている。

「術式の作成と提出って、二級の取得条件じゃない! 何が三級よ! 成仁、アンタ、私を騙してたわけ⁉」

「凌子さんが言ったんですよ。呪術しか使えないうちは三級、むしろ三級に上げるのは過大評価だって……」

 緋紗子は机の上に置いた手をきつく握り込むと、そのまま呪い殺してしまいそうな勢いで成仁をジロリと睨みつける。

「表に出なさい成仁、どっちの方が優れた魔術師か、今日ここで白黒ハッキリつけてあげる!」

 右も左も分からない魔術師見習いの俺からすると、緋沙子がなんの前触れもなく唐突に怒り始めたように見える。

 なにが癪に障ったのかなど、まったく見当も付かない。

 だが緋沙子の眼に宿っている光は恨みや妬みというより――まるで自分を大きく見せようと威嚇する獣の眼光のようにも見える。

「それはちょうどよかった。ボクも前から緋沙子さんみたいに暴力的な人、好きじゃなかったんですよ」

 そんなことを知ってか知らずか、成仁の方も明らかに敵意のある皮肉で応戦する。

 他人事のように呆然とその様子を眺めていた俺を、突然緋紗子がビシッと指差した。

「なにボサッとしてるのよ、アンタが決闘の立会人をするのよ」

 決闘と立会人という、とてもではないが非現実的な言葉に一瞬反応が遅れる。

「え? えぇ〜ッ⁉︎」

 たっぷり数秒かけてなんとかその意味を理解俺の胸中にあるのは、驚きと困惑だけだった。


                ※ ※ ※


「いいんですか? 敷地内で決闘なんかさせて」

 一般的な家庭のものよりも若干広いリビングダイニングで一通りの事務手続きを終わらせた凌子に、マントを羽織った切れ長の目が特徴的な少年が訝しむように問いかけた。

「ん〜建物を壊されたら困るけど、ひさつピもそれくらい考えてやるでしょ?」

 などと能天気な返答をしながら、凌子は車椅子の背もたれに深く体を預けた。

「俺が心配してるのは、どっちが勝っても今後の活動に悪影響があるかもしれないということの方ですよ」

 冷静な言い分のマントの少年に対して凌子は、

「そこはほら、ぶつかることで育まれる友情もあるじゃん? こう勝利、努力、友情〜みたいな?」

 などと適当なことを言い出す始末。

「その順番じゃ、勝利の優先度が高くて友情の優先度が低いみたいじゃないですか……」

 呆れたようなま眼差しを向けるマントの少年の切れ長の目から凌子はフイッと視線を逸らす。

「はぁ……もしもの時は介入できるよう、外に出てますよ」

 マントをバサっとはためかせながら、少年はリビングの入り口に向かっていく。

「……本当に昨日まで一般人だったあんな素人をスカウトするんですか?」

 凌子は背を向けたまま聞いてくる少年の質問にこう答えた。

「それを言ったら、まもるっちだって元は一般人じゃん……イマドキ純血主義なんて流行らないよ」

 凌子が冗談めかしてそんな風に指摘すると、マントの少年は無言のまま部屋を出ていった。


                ※ ※ ※


 魔術師の世界において、どちらの方が正しいかを決める際に決闘を行うことがあるのだという。

 ルールはシンプルに、予めお互いの身体の胴、腕、額に張り付けられた印の書かれた紙の内、どれか一つでも破壊された時点で終了である。

 そしてどういう訳か、俺は試合開始の合図をするためにコインを上空に弾く役回りを請け負わされていた。

「えーっと……これより二級魔術師・紅瀬緋沙子くぜひさこと、三級魔術師・袴田成仁による決闘を始めます。両者宣誓」

 成仁と緋沙子は、同時に宣誓を始める。

「ボク達は魔術師の誇りに賭けて、正々堂々決闘をすることを誓います」

「私達は魔術師の誇りに賭けて、正々堂々決闘をすることを誓います」

 その二人の言葉を聞き届け、俺はコインを親指で宙に弾いた。

 かなり綺麗な放物線を描いて飛んでいる、我ながら中々に上手く飛ばしたものだ。

 などという感想は一旦隅に置いておくとして、この宣誓には決闘のルールに違反した者の魔力を強制的に消費させるという魔術的な意味合いがあるのだという。

 通常のスポーツの試合でいう、イエローカードに相当するものらしいのだが、一つ異なるのは魔力が尽きた=決闘の進行が不可能になった時点で不戦敗となるということだ。

 これは『誓約を破ることが魔術師にとって最も重い罪』だからであり、緋沙子曰くそれでも即死しないだけマシとのこと。

 今更ながら、物騒な世界観の片鱗が垣間見えていて、魔術師になるなどと簡単に言ったことを後悔しそうになる。

 舞い上がったコインが最高高度に達したその瞬間、どこからともなく現れたマント姿の少年が俺の行く手を遮るように体の前に手を置いた。

「もう少し下がった方が良い、丸焦げになってもいいなら別だがな」

「え? あ、ああ……」

 そいつがいったい何者なのかと考えながら、俺はその少年とともに二歩ほど後ろに下がった。

「お前、名は?」

 そう聞いてくるこの少年は、成仁や緋紗子が何も言わないと言うことはおそらく薔薇園ローゼンハイヴの人間なのだろう。

「俺? 俺は善養寺司だけど、そういうお前こそ誰だよ?」

 俺がそう問いかけると、その少年は名乗ることもなく不敵な笑みを浮かべながら背を向けた。

「初対面の四級魔術師に名乗る名などない。それより……もっと下がっておいた方がいい」

 少年がそう警告した次の瞬間、コインが地面に接触して決闘の始まりを告げる。

 瞬間――緋沙子はいかにも中世ファンタジーにありそうな皮袋を構え、成仁も懐から複数枚の札のような紙切れを取り出した。

「万物の始まりを象徴する火の化身たるアシャ・ワヒシュタの名において、聖火の威光を今この場に示せッ!」

 緋沙子が呪文を唱えた直後、向かい合う成仁との間に巨大な炎柱が現れる。

「緋沙子め……何度見ても相変わらずバカみたいな火力の術式だ」

「あの炎について知ってるのか?」

 言われてみれば、薔薇園ローゼンハイヴの人間なら知っていても当然かと思いつつ、詳しい説明はされていないと思って問いかける。

 少年はフンと不機嫌そうに鼻を鳴らしたかと思うと、いきなり得意げに語り始める。

「緋沙子の術式はゾロアスター教の三大聖火のうち、唯一現存する序列第一位のアードゥル・ファッロバーイ聖火の灰を触媒に、絶対に消えない炎を呼びだして操る魔術だ。特徴は何と言っても、あの大火力に対しての異様な魔力効率の良さだろうな」

 それ自体はとても凄いことなのかもしれないが、やはり実戦運用の際にはどうしても局地戦以外での使用用途が思いつかない。

 間違いなく強いが、最強とは言い難い塩梅だろう。

「でも呪文を唱える間は無防備で、逆に火力が高すぎるせいで運用できる場所は限られてくる。その割に視界外では使えないっていうのは……かなりデカい弱点なんじゃないか?」

 そう答えた瞬間、マントの少年は関心したように目を見開き、

「……剣崎だ」

 と呟いた。

「は?」

 突然何を言い出したのかと思って聞き返すと、剣崎と名乗った少年は煩わしそうに言い直した。

「何度も言わせるな、俺は薔薇園(ローゼンハイヴ)五月市支部の剣崎守だ」

 二人が会話している間にも、炎は激しく燃え上がり、周囲の気温すら上昇させていく。

「焼き尽くせ! 《第一聖火アードゥル・ファッロバーイ》ッ!」

「ホント、馬鹿の一つ覚えみたいな火力厨ですね!」

 成仁がその炎を避ける代わりに禍々しいオーラのようなものを纏っている札のようなものをばら撒くと、まるで意思を持っているかのようにそれらは成仁の周囲の石や、草木に貼り付いた。

「アレは?」

「成仁の《同害報復術レクス・タリオニス》は、呪術を元にした呪詛返しの呪いだ」

 さっきから横文字と専門用語のオンパレードで、英語の点数が二である身としては何が何だか全く分からない。

「……つまり成仁の使ってる魔術はどういう効果なんだ?」

「簡単に言えば、あの呪符が張られた物体に対して与えたダメージを加害者にも共有フィードバックする魔術だ」

「なるほど、格ゲーの当身技みたいなやつか」

 特にこういう相手の方が明らかに格上で、緋紗子のように攻撃範囲の広い相手には滅法刺さる効果だろう。

「しかしあそこまで『共感領域パーソナル・スペース』を拡大した成仁は厄介だな……さて、緋沙子はどう突破する?」

「どっちの方が強いんだ?」

 俺が問いかけると、剣崎はフッとあざ笑うような笑みを浮かべた。

「魔術師の戦いは、術式の性能差が戦力の決定的差になるとは限らんさ」


                ※ ※ ※


 紅瀬緋沙子から見て、この状況の厄介な点は二つ。

 ①成仁への直接的な攻撃は自分にも共有される。

 ②成仁が呪符を貼った物体への攻撃も自分自身に共有される。


 そのため、本来なら緋沙子の《第一聖火アードゥル・ファッロバーイ》は成仁の《同害報復術レクス・タリオニス》との相性が致命的に悪い。

 と、三級の魔術師ならそう考える。

 しかし成仁の術式には致命的な弱点があった。

 それは術式そのものに対する攻撃は、他者に共有することができないことである。

 そして恐らく、それこそ凌子が成仁を三級と評した理由であり、呪術しか使えないことを低評価した理由なのだろう。

「成仁! アンタに一つ、いいことを教えてあげる」

 超高温の炎で造られた仕切りの向こう側にいる成仁に聞こえるように、緋沙子はなるべく大きな声で話しかけた。

「なんですか?」

 自分の勝ちを確信しているのか、成仁は不敵な笑みを浮かべている。

 その余裕そうな態度は気に入らないが、そういう自分の方が強いと思ってる奴の鼻っ柱をへし折ってやった時の方が気分がすっきりするというものだ。

 術式の完成度も、魔力量ですら……成仁が緋沙子に勝てる道理は一つもない。

 だが自分が勝つのは緋紗子にとって当然のことで、その圧倒的な実力差を叩きつけて勝つことにこそ意味がある。

「私の《第一聖火アードゥル・ファッロバーイ》は、普通の炎みたいに無作為に燃え広がるわけじゃないのよ」

 炎の温度が数千度だとしても、普通の炎と違って直接触れるまで影響がない。

 そういう意味では、この術式はとても大掛かりな焼鏝やきごてというべきだろう。

 しかしそれは裏を返せば、草や木を燃やしたり、石を溶かすよりも先に成仁が張り巡らせた呪符の方を焼くことができる。

 火が燃え移り、パチパチと呪符の焼ける音が聞こえてくる。

 《第一聖火アードゥル・ファッロバーイ》が強力なのは、なにも火力だけではない。

 聖火である《第一聖火アードゥル・ファッロバーイ》は、術式の起動に必要な魔力や霊体ですらことごとく焼き尽くす。

 昨日地縛霊を焼き払う事ができたのも、この特性のおかげだ。

 緋沙子が使うこの術式は、相手の魔術を一方的に焼き払って否定する絶対的な力の象徴であり――対魔術師戦に特化した術式なのだ。

 それがわざわざ本物の聖火の灰まで用意させて作った紅瀬家相伝の術式、《第一聖火アードゥル・ファッロバーイ》である。

 緋沙子がこの術式を理解できるようになるまでかかった時間は約十年。

 魔術師の家系に生まれた緋紗子は他の子供みたいに遊ぶ暇もなく、食事や睡眠といった生命活動の維持に必要な時間以外の全てを魔術に費やす生活を強いられてきた。

 由緒正しき魔術師の家系がどうだこうだと言っているが、そんな肩書になんの意味があるというのか。

 緋紗子にとって強くなるということは、そのまま自分の生きる選択肢を増やす行為であり二級魔術師という肩書はそれこそ自分の人生の努力の総決算なのである。

 だからこそ、成仁が一月やそこらで完成させたという受けた損害を加害者と共有するだけの呪術など、魔術として認められない。

 魔術師とは、いつか魔法というこの世界の法則を全て解き明かすことを夢見て研鑽を詰む学者なのだ。

「こっちは十年かけてここに立ってるんだから、アンタがたった一月で作ったような継ぎ接ぎだらけの古典呪術なんかに負けるわけにはいかないのよ!」

 その言葉を聞いて、成仁が僅かに肩を震わせた。

「……たかが一ヶ月、されど一ヶ月です。大切なのは実際に流れた時間じゃない、その密度だ」

 成仁は普段の可愛らしい猫撫で声が嘘のような低い声で吐き捨てると、再びどこからともなく呪符を取り出し、それを足元にばらまいた。

「人を救えない魔術は魔術じゃないという凌子さんの教えに則るなら――人の祈りを踏みにじる緋沙子さんの魔術は魔術じゃない」

 その言葉は呪詛よりも的確に、そして確実に緋沙子の胸を抉った。

 もちろん物理的にではなく、精神的にだ。

 当然だが、魔術は所詮ただの技術である。

 誰が使っても技術である以上、同じ成果を得ることができる。

 だがしかし、『なぜそんな奇跡を望んだのか?』という部分には絶対に作成者の設計思想が滲む。

 故に成仁の言葉は、魔術師にとっては禁句タブーとされる類いの言葉である。

「言わせておけば好き放題言って! 人がどんな気持ちで努力してきたかもしらない癖にッ!」

 緋沙子にとって《第一聖火アードゥル・ファッロバーイ》は、ただの対魔術師用特化術式ではない。

 自分の先祖がどんな祈りを込めてこの術式を作ったかなど、緋沙子は知らない。

 どうせ自分以外の魔術師を皆殺しにして世界で唯一の魔術師になるといった、くだらない目的で造られたのだろう。

 だが緋沙子にとってこの術式は、誰よりも自分を強く見せ、自分を縛る全ての存在に蹴りを入れて自由になるための術式なのだ。

「もちろん知りませんよ。緋沙子さんが結果を出すためにいったい何人踏み台にしてきたかなんて」

 それを言ったが最後、これ以上の会話は不毛なものと化す。

 ただ一撃、されど一撃で決着が着く。

 成仁の体を一切傷つけることなく、体に張り付けられた紙を焼くだけでいい。

 それを徹底すべく、緋沙子は踊り狂うように揺れている炎の群れで成仁を取り囲んだ。 

(勝った!)

 緋紗子は、心の底からそう確信した。

「……確かに、ボクの《同害報復術レクス・タリオニス》は、術式そのものに対しての攻撃を共有できません」

 成仁の呪術はあくまでも、加害者と被害者の関係で因果関係を結び、相手に同等の損害を負わせる呪術。

 術式そのものへの攻撃は、損害として記録されない。

「けど、それ以外のものにはどんなものにでも作用します。例えば……呪符を二枚あわせにすることで、呪符そのものに術式を付与する……とか」

 緋沙子は慌てて先ほど成仁が地面にばらまいた呪符の方を見やると、二枚あわせになっていることに気がついた。

 術式の弱点を知られていることを逆手に取った、相手の慢心を前提にしたトリック。

 自分の炎だ、防御はそう難しくない。

 だが決闘のルール上、体に張り付けた紙そのものに魔術を掛けて守る行為は禁止である。

「クッ! 成仁っ‼」

 負け惜しみのように叫んだ次の瞬間、緋沙子の全身が炎に包まれる。

 二人の間で燃え盛っていた炎は、まるで最初からそこになかったかのように消え去っていた。


                ※ ※ ※


 しばらくすると、地面にへたりこんだ緋沙子が無傷のまま火中から出てきた――ただ一点、体に張り付けられていた紙がすべて燃えているという点を除けばだが……。

「これが魔術師同士の戦い……」

 ただこれはまるで……エゴでエゴを潰しあうような――相手の尊厳を否定するための戦いじゃないか。

「覚えておけ善養寺。魔術師……いや、放浪者ノーマッドの戦いは、こうやって祈りを持って相手の祈りを否定する戦いだとな」

 剣崎は不愉快そうにそう言い残して、館の方に戻っていった。

「司く〜ん! 勝ちましたよ〜! って、守くん来てたんですね」

 先ほどまでの険悪さが嘘のように、成仁は元気に手を振っている。

 ただ……とてもじゃないか、成仁の勝利を素直に喜ぶような気分にはなれなかった。

 ただそれは当人の間の問題であって、俺の問題ではない。

 そんなことより、俺は今の緋紗子に伝えなくてはならないことがあった。

「緋紗子」

 昨日とは反対に、今度は俺の方が緋紗子の隣にしゃがみ込んだ。

「何よ、敗者を笑いに来たわけ? そうよね。あれだけ啖呵切っておきながら、実際には手も足も出なかったんですものね!」

 よほど負けたのがショックだったのか、緋紗子の対応は酷く投げやりだった。

 だが俺がこれから言おうとしているのは、決闘の勝敗とは全く関係のない話だ。

「そうじゃないけど……まだ助けてもらったお礼を言ってなかったなって」

「は?」

 緋紗子は涙目になりながら、キョトンとした顔を上げた。

「俺には人を救えない魔術は魔術じゃないとか、よく分からないけど――少なくとも俺は救われたよ」

「なっ⁉︎ 何よいきなり!」

 あまり褒められ慣れてないのか、緋紗子は頬を赤く染めながら目を逸らした。

「だから、ありがとうな。緋紗子」

「……馴れ馴れしいのよ、私のこと何も知らないくせに」

 口ではそう言ってるものの、緋紗子の表情はどこか柔らかいものだった。

「驚いた、緋紗子さんもそんな顔できたんですね……」

 成仁ですら物珍しそうな声を上げる。

「うるっさいわね! というかアンタ! 私の魔術は魔術じゃないって発言、ちゃんと撤回しなさいよ!」

 初めて会った時の冷静で知的なイメージとは一転、緋紗子はまるで子供のようにギャーギャーと騒ぎ立てる。

 きっとこちらの方が、緋紗子の素に近いのだろう。

「撤回するのは構いませんけど……緋紗子さんの術式は何を想定して魔力ごと焼き払うような設計になってるんですか?」

 真剣な顔で問う成仁に対して、緋紗子は迷うことなく答えた。

「……世の中には通しちゃいけないような祈りもあるのよ。人の自由を奪うような祈りなんて、私は絶対に認めないから」

「ボク、緋紗子さんのことを誤解してたみたいですね……ごめんなさい」

 素直に謝る成仁を他所に、俺は別のことを考えていた。

 暴力を抑止するための暴力、自由のための武力――そんなものを目の当たりにして思う。

 果たして、自分はそこまで何かを信じることができるだろうか? と。

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