エリーとハンバーグと

右端燕司

プロローグ

 2週間も経てば他人の家のキッチンにも慣れるもんだな。


 シンプルな家具でまとめられたダイニングのキッチンで、しみじみとそんなことを思う。


 煙をよく吸ってくれるのに小さな音の換気扇に、炎の大きさが均等なガス代。

 この首がホースみたいに伸びる蛇口も便利だ。


 使い終わった大さじや計量カップを洗って水切り台に置く。


 今日は俺の代わりに炊飯器君が頭から湯気が出るほど働いてくれているので、あとは大きめの皿の隅に半額で買ったカット野菜を敷いて、フライパンで味付けと出会うことを待ちわびているエビにチリソースを引き合わせてあげるだけだ。


 時計を見ればエリーが仕事から帰ってくるまであと1時間くらい。

 今日はなんとなく疲れてるし、軽く昼寝でもするか。


 ブランケットを羽織り、ソファで目を瞑る。

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