1-3. 荷物を拾うだけでも、超越者が『力が欲しいか』と聞いてきて鬱陶しい

 とりあえず、俺のつぶやきエクシートを心待ちにしている奴等がいるから、今起きたことを脳内で念じて簡潔につぶやく。



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■自分

聖女パーティーから追放された

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■ケルリル@ケルベロスとフェンリルのハーフ

見てた!

大丈夫。ボクがいつも一緒だよ!

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■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王

アレルの予想した展開どおりすぎて台本を疑うレベル

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■ヴァンドラ@極光の竜王

無能スキルの数だけ見た展開でウける

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■ルーリン@子育て奮闘中の隠居聖女

あらあら。まあまあ。

若い子ってヤンチャねえ

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■ギバルガン@封印されし災禍の魔霊

ヤンチャ婆、貴様が言うな。

我の封印を解け。この世界を滅ぼしてやる!

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■オルロード@伝説の勇者の残留思念

まったく最近の聖女はどうなってんだ。

つつしみがない。ワシが生きておった頃の聖女は――

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■セレニティ@天界の調停者

はいはい。おじいちゃん。昇天の時間ですよ。

もう地上の誰も貴方のことは覚えてないの。

いい加減に昇天してくれないかしら

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 即レスしてきたのは、いわゆる『力が欲しいか……』と脳内に語りかけてくるような連中だ。

 俺のスキルに介入できるほどの力を持った超越者だが、暇人とも言う。


 俺がSNSのようなスキルを習得してしまったせいで、本来は関わるはずのなかった者たちと知りあいになってしまった。


 1名を除き、全員がデフォルトアイコンのスライムだ。ケルリルだけはリアルで会ったことがあるため、その顔がアイコンになっている。



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■自分

状況をコントロールできている。

だから、お前たちは介入してくるなよ?

俺が危機に陥るたびに『力が欲しいか……』って

脳内に語りかけてくるの、マジでやめろよ。

それで気が散って死にかけるんだからな

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■ケルリル@ケルベロスとフェンリルのハーフ

やだやだー。

アレルはボクが守るー!

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■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王

くくくっ。

我の助けは要らぬと言うか。

ますます気に入ったぞ。

貴様が我が城にたどり着くのも時間の問題。

さあ、早く来るのだ!

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■ヴァンドラ@極光の竜王

くくくっ。

与えられる力は要らぬというか。謙虚なやつよ。

ならば世界の裏側まで来い。

この場にいる奴等を一蹴できるようになるまで鍛えてやる

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■ギバルガン@封印されし災禍の魔霊

くくくっ。

地道に鍛えるなど愚の骨頂。

俺様なら、半分の寿命を対価にして、貴様に最強の力を与えてやるぞ

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■オルロード@伝説の勇者の残留思念

くくくっ。

邪悪な存在に頼る必要はない。

ワシが憑依してやる!

伝説の剣技を授けよう!

一緒にこいつらぶっ殺すぞ!

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■セレニティ@天界の調停者

なんですの。このくくくっ、の流れは……。

これだから地上の者は……

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■ルーリン@子育て奮闘中の隠居聖女

くくくっ。

皆さん分かってないですね。

アレル。うちにおいでなさい。

少し古いけど本物の聖剣を譲りますよ。

鞘にドラゴンが巻きついているデザインなの。

男の子はこういうのが好きなんでしょ?

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■自分

くくくっ。

鞘のドラゴンだけは気になるが、ぜんぶ断る。

とにかく、マジで介入するんじゃねえぞ。

強すぎて孤独なお前たちに会話友達ができたのは、

俺のスキルのおかげだということを忘れるな。

俺を怒らせたら、お前ら、またボッチだからな?

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 この超越者たちは、高みにいるせいで、低みにいる俺にしか、脳内で語りかけることができない。

 つまり、俺という中継点を介してでしかコミュニケーションがとれない。



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■ヴォルグルーエル@闇刻(あんこく)魔王

……ッ!

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■ヴァンドラ@極光の竜王

ふ、ふん。

誰が孤独なものか。

我につりあう者がおらぬだけよ

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■ギバルガン@封印されし災禍の魔霊

ゲヒャヒャ。

数千年も地底に封印され続けている俺様が、

いまさら孤独を恐れると思うか?

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■ケルリル@ケルベロスとフェンリルのハーフ

ボクはひとりじゃないもーん

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■オルロード@伝説の勇者の残留思念

べ、べつに寂しくなんてないんだからね。

わ、わしはただ、

悪魔どもが悪さしないか見張っているだけなんだからね!

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■セレニティ@天界の調停者

私は寂しいですよ。

早く天界に帰りたいです。

オルとギバ、早く昇天するか消滅してくれません?

もう、ヴァンがこの世界を支配してくれていいので……。

せめて、生きている者で争ってくれません?

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■ルーリン@子育て奮闘中の隠居聖女

あらあら。まあまあ。

赤ちゃんが泣きだしちゃったわ。

ぼっち達と違って忙しくてしかたないわねえ

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■自分

あー。

痛いところにぶっ刺さったか。すまん。

とにかく、俺がいるから、お前たちは会話ができる。

俺を不機嫌にさせるのはよくないよな?

だから、戦闘中に『力が欲しいか……』はやめてくれな?

あ、いや、お前たちの好意はありがたいんだ。

本当にガチのピンチでどうにもならなくなったら俺の方から

『神でも悪魔でも誰でもいい……! 俺に力を……!』

みたいなこと言うから、そのときに頼むよ。

そろそろ出発するから。じゃあ、またな

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 俺はスキルを解除した。

 左手から輝く板が消える。


 さて。すぐに宿を出ないと。

 宿はぼろいのに、高級ホテルのようなぼったくり価格だから、長居して宿泊日数を延長されるわけにはいかない。


 俺は手元に落ちていた革袋に手を伸ばす。


(くくくっ。力がほしいか?)


 く、くそうぜえ……。

 革袋を拾うだけなのに、誰かが俺の脳内に語りかけてきやがった。


さいなことで、力を貸すとか言ってくるな! 暇人め! ぶちのめすぞ!)


(くくくっ。貴様が禁止したのは『戦闘中』だ)


 うっぜえ……!


 俺は脳内の声にうんざりしつつ、革袋を拾う。


「中身が詰まっている。ん? 軽い?」


 ひもを緩めて中を確かめると、石が詰まっていた。


「……なるほど」


 俺は立ち上がり、革袋のひもを締めて腰のベルトに提げる。


「店主、世話になった」


「きひひ。行ってらっしゃいませ……」


「何がきひひだ。ぶちのめすぞ!」


「ひいっ!」


(力を欲する者よ。なんじに力を授けよう……)


 痩せこけたじじいを倒すのに、お前らの力なんて必要ない……!


(我を呼ぶのは貴様か……)


 呼んでない。ドアを開けるだけだ!


 俺は宿を出た。


 命拾いしたな、きひひ骸骨じじい。

 ここがゲーム世界だったら、すべての壺を破壊し、タンスをあさり、金品を奪っていくからな……。



◆ 次回予告


宿屋のじじいがうさんくさいから、アレルは過去のつぶやきをチェックする。

すると、宿屋は宿泊客を生け贄として魔族に捧げていたことが発覚。

これは、ぶちのめし案件だな。


次回『人間と内通している魔族がいることを、相互フォロワーの魔王に教えてあげる』にご期待ください。

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