ろくでなし天使様

ほたてん

第1話『ろくでなし天使様』

寝坊してしまった。目覚ましは確かになっていたはずなのに。気づけば急がなければ始業の時間に間に合わない時間になっていた。


「急がないと遅刻しちゃうよ?」


通学路で声をかけてくれたのは、同じ制服を着た銀髪の美少女だった。碧い瞳が朝日にキラキラ光っていて、まるで現実感の無い存在のようだった。


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教室に駆け込んだ僕は急いで周りを見渡す―――ちょうどチャイムが鳴った


佐伯さえきギリギリだぞ?ほら、ホームルーム始まるから早く席に着いて」


良かった、間に合ったみたいだ。僕はホッとしながら自分の席に向かった。

すると隣の席に座っていたそうが話しかけてくる。


みなとにしてはギリギリだったけど何かあったのか?」

「今日は寝坊しただけだよ〜」

「へぇ、珍しいな」


蒼はそう言って笑った

僕は苦笑いしながら席に着く


ホームルームが始まってから数分後、ガラッと扉が開く。振り返ると通学路で会った美少女が立っていた。銀髪に碧眼、整った顔立ち。まるで教室の時間が一瞬凍ったようだった。


「天使様じゃん」


どこからか声が漏れる。

そう、日本ではかなり珍しい銀髪碧眼の美少女であり、成績だって学年で1桁に安定して入っている彼女――天城あまぎ れい――は周りからこう呼ばれている『ろくでなし天使様』と



「天城、また遅刻だぞ」

そう先生が言う。


すると天使様は特に悪びれることなく、眠たそうに「すいません」とだけ言った。

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