天才少年シィは数字たちが生活する数次空間に招かれた。理由は一つ。素数貴族の独裁体制からの脱却。つまり革命である!
これだけでもう本作が作者のセンスを爆発させたものだということがわかるだろう。普通は思いつかない。つまりこれが思いつくということは、ストーリーもただ革命して終わり!とならない。二転三転していく。そして終わり方は爽やかだ。
出てくる数学的知識はほとんどが義務教育で習ったものばかり。そういう意味では数学がニガテでも楽しめると思う。
一点注意を挙げるならルビの使い方だ。少々癖のある使い方をしており、初見では面食らう可能性がある。事実私もそうだった。
とはいえその使い方には確かな意図があり、ユーモアもある。慣れてしまえば楽しめるだろう。
一万字以内で読みやすく、読後感もすっきりしている。オススメしたい一作だ。