ムダミラ・クルシュの独白
***
生を受けたその瞬間から、私は誰の視界にも入ることはなかった。
父たる【神】は、他の九人の兄弟姉妹と比してあまりに不出来だった私に、憐れみにも似た、たった一つの使命を授けてくれた。
「人を殺せ」――ただそれだけの、極めて単純な役割だ。
私は人を殺めるための舞台装置【遊戯】に身を投じ、優勝を、そして自分以外の参加者全員の絶滅を至上命題として生きてきた。
仲間探しなどという甘美な行為も、半分は他者を欺き、確実に息の根を止めるための手段に過ぎない。
そしてもう半分は……おそらく、誰かに、私という存在を見つめてほしかったからなのだろう。
私の魂を揺さぶった人物は、二人いた。
一人は、【完璧主義者】アドミラグ。
もう一人は、【冒涜】文々悠里。
アドミラグは、私が初めて参加した第一回遊戯において、初戦から圧倒的な実力を誇示し、頂点へと昇り詰めた天才的なプレイヤーだった。
しかし、その輝きは皮肉にも、他の参加者たちの醜悪な嫉妬を煽る結果となった。
第二回遊戯、彼はあろうことか信頼を寄せていた仲間に裏切られ、凄惨な死を遂げた。
その回の詳細は、参加していなかった私には知る由もない。ただ、史上最悪と謳われた災厄【あぶの大群】によって、生存者無しの全滅という絶望的な結末を迎えたことだけを聞いている。
続く第三回遊戯。優勝を掴み取った私は、迷わずアドミラグの復活を願った。
願いは成就した。だが、黄泉の国から戻ったアドミラグは、もはやかつての彼ではなかった。
すべてに絶望し、その瞳からは一切の光彩が失われていた。彼は二度と、私を見てくれることはなかった。
そんな渇いた心に現れた、もう一人の王子様。
それが、文々悠里だ。
彼ならば、あのアドミラグとは違う。いかなる深淵に突き落とされようと、決して絶望に染まることはない。
彼のことを想うときだけ、私は全ての苦しみを忘れ、幸福な安らぎの中で微睡むことができる。
彼は、特別だ。
【総則】のルールを超えて、私にダメージを与えた。
第四回遊戯の幕が閉じてから、数ヶ月。
第五回遊戯への招集状が、私の元へ届けられた。
私はしばらく、その紙切れを見つめ続けていた。
そのリストには、あの【完璧主義者】アドミラグの名も記されていた。
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