開戦!トーナメント

「……そろそろ魔物狩り飽きたので、3人目の仲間を探しにいきます」


 ツイカサレター村での一件を得て成長した勇者一行。魔物から落ちる素材を売って財布の中身も潤っている。

 そんな事で勇者はついにそんな決断をしたらしい。


「そう、仲間を。どこに行くのかしら」


「お師匠!私は強くなれる場所がいいです!」


「うん、闘技場に行こうかなと」


「あら、まともな場所ね。強い人もたくさんいそうね……男の」


「やったぁ!私闘技場行くの初めてです。楽しみ〜」


 ▶勇者一行は闘技場へ向かった


「よーし、目指すは優勝だー」


 闘技場の受付を終えた勇者は燃え上がっていた。その身体から溢れる闘志で他の選手が避けて行く程だ。


「お師匠と戦えますかね?」


 リウがのトーナメント表を見ながら言う。


「どうでしょう」


 リウがトーナメント表を見て言う。

 二人が戦うには互いに決勝戦に勝ち上がらなければならない。


「私は観戦してるわ」


「……観戦してる間スリとかしないよね?」


「疑うなんて酷いわね。しないに決まっているじゃない」


 マネと勇者の視線が交差する。


「その言葉信じるからね」


「もちろんよ」


 マネを見る勇者の瞳から信頼が見て取れる気がしなくもない。


「いっちょ戦ってきまーす」


 そうして遂に、その時は来る。


「―――さぁ始まりました!地上1の最強の中の最強を決める闘技場の勝ち抜きトーナメントォー!優勝したものにはなんと、なんと、なんと!金と奴隷が与えられます!」


 そう司会が言うと天井にぶら下がる檻が下がり、そこから白髪の勇者と同年代であろう美少女が現れた。

 それを見た出場者abcがそれぞれ檻の中にいる奴隷の姿を見て感想を述べる。


「こりゃ、いいねぇ」

「そそるぜ」

「へっへっへ」


 彼らの目つきはいやらしい。


「……お師匠、決勝戦で会いましょうね!」


「うん、会えたらいいね!」


 そうして闘技場での戦いがついに始まる!


「……ついに決勝戦か、ここまで長かった」


 いくつもの激戦の末に決勝戦へと歩を進めた勇者。果たして最後の相手は誰なのか。


「俺はシールドだ!少年、お互いに良い戦いをしよう」


 決勝戦の男はシールドという名前の屈強な肉体を持った男だった。武器は左手に持つ大きな横顔の男の顔が彫られた銀の盾のみ。


「よろしく!でも負けないからね!」


 屈強な肉体を持つ男と勇者の戦いが始まる 。その時だった―――


(ドォーン!!)

「魔王四天王、物理のサン参上!」


 魔王四天王の物理のサンが現れた。


「なっ、どうしてここに四天王が!」


 その登場にシールドが身構える。

 ここまで勝ち残った猛者であるシールドですら一瞬怯んでしまうのが四天王。


 荒々しい金色をした短い髪。そこには純黒の角が生えている。服は無い。全裸だ。


「……ここは一旦共闘しようシールド」


「そうだな少年!」


 そんな強敵を前に二人は互いの手を掴んだ。


「鍛え抜かれたその肉体……正に至高の領域だ!お前も魔族にならないか?」


「愚問!くらえ、シールドラッシュ!」


 刹那、シールドの盾による連撃がサンを襲う。


 ▶シールドのシールドラッシュ

 サンは負傷した


「くぅ!効くじゃねぇか!」


 ズズゥ―――!体勢を保ち後ろの飛ばされるサンの足がリングを削る。


「よし、俺の番だ!……殴り捨てごめん!」


 ▶勇者のパンチ

 サンは消滅した


「やったぁ!勝ったぞ!……これも、シールドのおかげだよ」


 流石四天王と言うべきか。苦戦を強いられた。しかし勇者とシールド、二人だったが故にその勝敗は変わったのだろう。


「ふっ、何をいう少年。俺こそ君がいなければ命を落としていたかもしれないほどの強敵だ」


「うん。じゃあ、改めて……戦おうか」


「おう!」


 ―――そうして続けてシールドとの激闘。その末に勇者は勝利をもぎ取った。


「いい勝負だったよシールド」


「あぁ、またいつか共に戦おう!」


 勇者とシールドの熱い握手が交わされた。

 それと共に響く司会の声。


「途中でアクシデントもあった試合もこれで全てが終わりました!優勝者は勇者!名前だけじゃないその確かな実力を示した優勝者にはこれが与えられるぅ!」


(ガラガラガラ)


 檻の扉が開いた。ただ中にいる少女は怯えた様子で勇者の様子を伺っているようだ。


「大丈夫、一緒に行こう」


 そんな少女に勇者は一言かけると手を差し伸べた。―――たどたどしい手つきではあるが少女はその手を取った。


 ◇


 闘技場を出た勇者一行。

 新しい仲間も増えた事より一層勇者の機嫌も良くなっている。


「それにしても四天王が乱入するとは思わなかったわね」


「私もお師匠と一緒に戦いたかったなぁ」


 準決勝シールドに惜しくも敗れたリウ。

 リウの拳でもあの盾は貫くことは出来なかった。


「リウ……貴方って本当戦いが好きね」


「……うん!それに勇者パーティに入って戦うのも私の夢だったから」


 そう言うリウの姿は夢見る純粋な少女。

 そんな姿に勇者もまた胸を打たれる。


「よーし仲間も増えた事だし……今日は好きな物たくさん食べよう!」


「やったぁ!お師匠大好きです!」


「勇者様、オススメのお店はあるかしら?」


「もち!人が盛んな所はその分色々な食べ物があるからね」


 闘技場なんて人間同士が争う場をエンタメとして見られるのは汚れた街か栄えた街のどちらか。この街は後者の大きく様々な人間が行き交う街。


 少女は談笑する3人の1歩後ろを歩く。

 既に出来上がっている雰囲気に割って入る事はできない。


「大丈夫、君も一緒に行こう。だって仲間なんだから」


 勇者は優しく少女に声を掛けた。


 ▶勇者一行はご馳走を食べた

 皆幸せそうだ



 ついに3人目の仲間が加わった勇者の旅。

 次に待ってるいるのは一体どんな場所なのか。





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