仲間集めなら酒屋に行こう

「うんうん、やっぱり仲間を集めるなら酒屋一択!冒険者ってのは日頃からこういう所にたむろするからね」


 酒屋の扉の前で大声で1人言を発する変人こと勇者。辺りを通る一般人達からは避けられている。


「本当は『どう、1杯奢るからついてこない?』とかやりたいけど肝心の俺が酒飲めない年齢だからなぁ。いや酒苦手だからいいんだけどね……」


 ひとしきり話すと、なにか凹んでしまった勇者。時間をかけてようやく扉に手をかける。


「お邪魔しまーす!魔王討伐に付き合ってくれる人いますかー?」


 入るなりそんな一言。世界に恐れられている魔王をこれから討伐する人物の出す言葉とは思えないほど軽い口ぶりだ。


「あぁん?勇者だぁ?よく分からねぇけどここはオメェみたいなお子ちゃまがくる場所じゃあねぇんだよ」


 そんな呑気な勇者に、昼間から酔っ払っている男aが突っかかってきた。


「子供かなぁ……確かに子供舌かも!」


 勇者は17歳の165cm55kgだ。黒よりも少し茶色がかった髪はふわっと天然のパーマがかかっており青い瞳も純粋に見える。


「でも!金はある。ほら!」


 勇者は先程手に入れたばかりの金貨が大量に入った袋をガチャガチャと鳴らす。


「お、おい見ろよ!これ中身金貨だ!いいとこの坊ちゃんだったか」


「マジか!?俺を雇えよ!力あるぜ?」


「いやいや!ここは俺を!」


 勇者の金貨袋に昼間から酒に入りびたるような男bcdが寄って集っている。


「えー、男はちょっとなぁ……」


「そうかそうか、じゃあ金だけよこせ!」


 顔を赤くした男aが攻撃を仕掛けてきた!


 ▶男aの攻撃

 フラフラ行って左にストレート

 しかし勇者は避けた


「おいおい、少しはやるな」

 とaが言った。


「おう!なら一気に行くぞ!」

 とbが言う。


「でもガキに無闇に攻撃するなよ!金は早いモン勝ちだ!」とcが言いました。


 ▶男a〜gの攻撃


 そうして7人の男による攻撃が繰り出されようとした時、奥の席に座っていた1人の男が立ち上がった。


「……寄って集って子供に手を出すとは、大人として黙ってはいられない」



 ▶青髪の剣士のみねうち

 男a〜gは意識を失った


 それは刹那の出来事。酔っ払った男らを一瞬柄つかで突くとその意識を奪う。


「少年よ、大丈夫か?」


「大丈夫!助けてくれてありがとう」


 勇者は助けてくれた青髪の剣士にぺこりとお辞儀をした。


「先程魔王を討伐すると言っていたが……本気か?」


 どうやら青髪の剣士はまだ小さな青年を心配しているようだ。


「超本気」


 しかし勇者はそんな心配はお構い無しか、自信満々の顔で言う。


「ならば俺を……」


「ごめんなさい、女の子を連れていきたいんです」


 ▶勇者の選択

 青髪の剣士の厚意を断った


「そうか。だが少年、なぜか君なら魔王を討伐してくれる気がするよ」


 青髪の剣士の瞳はどこか優しい。


「うーん、どうだろう?まぁ、期待してくれていいよ」


 勇者は青髪の男とそれだけの会話を交わすと再びパーティメンバーを探すために1件隣の酒屋へと向かった。


 ◇


「ねぇお姉さん!」


「あら坊や、どうしたの?」


 勇者が隣の酒屋で最初に声をかけたのは色気を醸し出した金髪の女性だ。

 勇者はロングヘアーの金髪女性に歪まされたことがあった。


「一緒に魔王討伐しない?」


「あらあら、からかってるの?」


 勇者の誘いであったが、やはりからかいに見えるらしい。


「超本気、この金貨で雇うからさ、一緒に魔王討伐の旅に行かない?」


「お金持ちなのねぇ……でも、私お金興味ないのよ」


「嘘だー」

「本当よ」

「いいや嘘だ」

「いいえ本当よ」



 そんな問どうを繰り返していると……勇者の瞳がギラリと光った。


「……今、お金取った?」


「なんの事かしら?」


「いや、取ったよね」


「さぁ、知らない。言いがかりはやめてくれないかしら」


 金髪の女はすました顔で答えるが、勇者は見ていた。たった1枚の金貨ではあったが、それが一瞬にして女のポーチの中へと移動した所を。


「いやぁ、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね!ただ相手が悪かった」


 そういうと勇者は女のポーチの中に入った1枚だけある金貨を即座に取り出す。


「泥棒……それが貴方のなんて証拠ないでしょ?元から入ってたかもしれないのに」


 勇者には奪われた確証はあってもそれを否定する根拠は無かった。

 なにせ、彼女の行動は周囲を漂う空気のように見えないのだから。


「うーん……でも取られた物は取られたし、そうだ、じゃあ交渉しよう」


「……交渉?」


 勇者の言葉に女は食いついたようだ。


「うん、さっき取られた1枚に加えてあと9枚の金貨をあげる。だから冒険についてきてよ」


 金貨10枚、元の資金を考えても大きな金額。龍の素材を使った高尚な装備品は3つ、一軒家も小さければ買える。


 それ程の金額だ。女も少し頭を悩ませる。


「痛いのは嫌よ」


「大丈夫、魔王城の近くまででいいから」


「そう、信じてもいいの?」


「もちもちのもち。お金と身の安全と衣食住全部保証しちゃう。所でお姉さん、名前は?」


「マネよ」


「じゃあマネ、よろしく!」


「ふふ、貴方面白い子ね。当分の間、よろしくお願いするわ」


 ▶勇者のパーティにマネが加わった


 そうして新たに金髪ロングでスタイルも良い美人なマネが新しく加わった旅。勇者のハーレムを目指す旅のピースがまず1つ、埋まった。



















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