貴方と…神と…転生と

活華鼠

第1話 プロローグ

まだ、“身体”がある。


ここにある願いと引き換えに、すべてが終わりを迎えようとしている。


仲間たちは先に美しい光となり、跡にはわずかな匂いのような残滓だけが漂っている。


「カーム……ごめんね。

 向こうで見守ることすら……できない、かも……」


私の身体も、構成要素が世界へと還元されつつあった。


「へへっ……もう、耐えられそうにないなぁ……」


呪詛の重圧に耐えながらサナはふと思った。


――この体を…あなたを…生きていたのは…いっただれかなぁ…


あれほど重かった呪文に耐えていたのに今はもう心地良い。


「へぇ…もう、身体は無いのか…」


すでに個では無かった、しかし不思議と高揚感に包まれる


今までの出来事が全て同時に垣間見れ…喜びも悲しみも溶け合う気配がする


「ああ。わたし…は…とても………」


光の感覚が臨界を越え、

サナは、自分が世界に“溶けた”と理解した。


――不思議だ。


見ている訳でも無いのに何処を見ても空……


「…ああ……これが……祖霊の言っていた……風空…宇宙?……」


どこかで、美しい声が響く。


「でも……あぁ……わかったわ……■■■そう次■■昇と…………………」


――うつろう。


サナは広大な宇宙を、


一瞬で“うつろった”。


それは移動でも浮遊でもない。


存在の位相そのものが変化していく感覚。


ああ、これが“神のルール”……。

水の……雲の……様に……うつろう。


その流れは全て中と外にあって、そこに居て・・全てを包括する。


常に私は 媒介(medium)で、状態(states)で、静動(static)


だから神は 処理(process)するんだ。



私はそれを――


気づけば、とても暖かい何かが後ろから抱きしめていた。


ところどころ、自分の身体が“溶け合う”感覚がある。


「――サナ」


その暖かさは優しくも熱く深い……


「へぇ……身体もないのにね……」


言葉より先に、“理解”だけが静かに降りてくる。


事象の地平面より、

もっと深い“意志の階層”から――


彼女の物語は、ここから始まる。

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