悪役令嬢は『のんびり』希望です!
クロ
第1話 悪役令嬢として目覚めた朝
悪役令嬢として目覚めた朝
――ふわ、とまぶたが開いた。
「……あれ? 天井、知らないんだけど?」
昨日は普通に家で寝落ちしたはずなのに、目の前にあるのは絢爛な天蓋つきベッド。そしてレースのカーテン。
高校二年、春川みのりの部屋では絶対にありえない光景。
飛び起きて周囲を見まわした瞬間――鏡に映った姿に息が止まった。
「……え、これ、シルヴィア・ヴァルモンド!?」
銀髪ゆるふわツイン、宝石みたいな紫の瞳、そして豪華なナイトドレス。
スマホで延々読み返した乙女ゲーム、『ロゼリアの花嫁』の悪役令嬢そのもの。
処刑ルートまっしぐらの、あのシルヴィア。
「ちょ、やだ、待って。私この子、最推し攻略キャラの恋路邪魔するとんでも悪役じゃん! 処刑イヤ! 絶対イヤ!!」
みのり改めシルヴィアは、そこですぐに決意を固めた。
――フラグ全部回避して、のんびり生活します!
でも、その決意は速攻で揺らぐことになる。
◆学院初日、予定外の接触
「おはよう、ヴァルモンド嬢。今日も美しいね」
振り向けば、黒髪の完璧王子 レオンハルト殿下。
ゲームではヒロインのメイン攻略対象。
本来、シルヴィアとは会話すらほぼないはず。
なのに、今日はなぜか微笑みかけてくる。
「……あの、殿下。わたくしに何かご用でしょうか?」
「特には。ただ……最近の君、雰囲気が柔らかくなった。気になっただけだよ」
(いやいやいやいや、気にしないで! あなたが気にするとヒロインちゃんルートが狂って私が困るの!!)
焦って距離を取るシルヴィアだが、そこにさらに影が差した。
「シルヴィア、殿下に絡まれて困ってない?」
ゲームでヒロインの保護役をつとめる騎士 ユリウス が、さりげなくシルヴィアの肩を抱いて引き寄せる。
(いやいやいやいや! あなた幼なじみ設定だけど、原作じゃシルヴィアのこと嫌ってたよね!? 距離近すぎ!!)
「最近のお前、妙に可愛いからな。心配になる」
(可愛いとか言わないで!? のんびり生活が遠ざかるから!!)
そして最後に現れたのは――
「ふふ……今日も面白そうに逃げ回ってるね、シルヴィア」
金色の瞳が妖しく笑う。学院一の魔法天才、
クロード。ゲームでは隠しキャラで、闇を抱えたヤンデレ枠。
(ひぇぇ、攻略キャラ勢ぞろい!? なんで悪役令嬢の私に集まって来るの!?)
クロードはシルヴィアの手を軽く取って、低く囁く。
「“変わった”君を、観察していたくなるんだよ」
(観察しないで!? 観察されるとボロ出るの!!)
のんびり生活、夢のまた夢?
シルヴィアは泣きそうになりながら心の中で叫ぶ。
――お願いだから誰も私に興味持たないで!!
――ただ静かに、平和に生きたいだけなのに!!
だが三人はまるで示し合わせたように、同時に言った。
「シルヴィア、放課後、予定は?」
「「「一緒に過ごそう」」」
(――あぁぁぁぁ逆ハーレムフラグ立ったぁぁぁぁ!!!!)
こうして、のんびり生活を夢見る悪役令嬢(中身:現代女子)の奮闘が幕を開けるのであった。
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