第12話 スーツを着た悪魔

「そんなこんなで、結局お付き合いする事になりました。」


「そうですか!それはおめでたい!ヨヨヨイヨイ!めでてぇな。梅之助と梅雀はクローンかと思ってました。」


「何か意味が分かりませんが…色々ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。」


「伝七親分を親子でやってたんですよ。その後どうなりました?」


「はあ、あの後から実はまだ会っておりません。ツヨシさんが忙しいらしく…まあバイトに追われてるのかもですが…卒論もあるでしょし。」



そうなのだ。あのマリボでの衝撃告白からのお付き合いからツヨシさんとは会っていなかった。

やっぱり弄ばれてる?疑惑は拭えていなかった。


あの後、あの紳士そうなツヨシさんが、何故避妊しなかったのか謎だったので聞いてみたら


「だって既成事実が出来たら断れなくなるかなって思ったから」


だそうだ。やはりとんだオオカミ野郎の悪魔だった。

まだ私は学生なんで勘弁して欲しい。

物腰柔らかい紳士な優男だと思っていたが目的を達成する為には手段を選ばない狩猟民族だったようだ。







そんな報告などを三田さんにした数日後に話題の男、ツヨシさんから連絡が来た。


一緒にお買い物に出かけた。

おー!これはデートか!本当にお付き合いしてたんだと少し感動していた。


「今はイベント会社でバイトしてて、明後日やるイベントで賑やかしに呼ばれたから、ランゼにも手伝って欲しい。」


そう言って何だか高そうな小綺麗な服を買ってくれた。

値札が無かったから値段は良く分からなかった。


デートで服を彼氏に買って貰うって何か

「どっちが可愛い〜?」

「お前が1番可愛い〜」

なんてファストファッションのショップなんかで浮かれポンチな会話をするイメージだったのでやっぱりツヨシさんは変わってるなって思った。


「ちょっとしたパーティー会場になるからこの服着て来てね!美味しい料理沢山あるから食べ放題だよ!」


と、もう断られない前提で決められた。

結局服も良く分からなかのでツヨシさんが決めていた。ついでに靴も買ってくれた。

バイト頑張ったんだなあ。タイまで行った位だしなあ。

でも、普段着回せる服の方が良かったなあと少し罰当たりな事を考えていた。


知らない人が沢山いる所はちょっと怖かったけど、まあ美味しい物があるならひたすら食べてれば良いかって気楽に考えていた。





「○○製薬株式会社新規開発部門完成披露会」



何だかかなり思ってたパーティと違った…

タイトルに漢字しかない…


当日指定されたホテルの会場に行くとかなりお堅めな内容に慄いていた。


イベント会社のパーティーとか聞いてたから

パリピがフォーフォー騒いでDJとか居そうなのを想像していた。


まあ、そんな会場でこんな格好はおかしいか…

買って貰った服は結婚式の2次会とかで着そうなフォーマルなパーティードレスだった。

この先色々着る機会が有るかもだから買ってもらえて助かったとも思っていたが…


まあとりあえず会場に入り言葉通り美味しそうな料理が並んでいたので早速頂いていた。


そこにあの鞠保さんが居た。



「あれ!?鞠保さん!?こんな所でお会いするなんて!」


このパーティーとは縁もゆかりも無さそうだが…

まあ、私もか。


「あっ!こんにちは!この間はお店に来てくれてありがとうございました!今回の此方の設立と同じスポンサー会社に私の理想に共感して貰えて開店資金の援助をして頂いたので、そのご縁で少し此方の会場の料理も提供させて頂いたんですよ!」


「へぇー!凄いご縁ですねー!私もまさかこんな所で鞠保さんとお会いするとは驚きです!」


「そうですね!私の夢が早く叶ったのはある意味あなたのおかげも大きいですから…感謝してますよ!」


「?」


何だろう。常連だったから早くに開店資金が集まったのかな?

ある意味スポンサーの1人に入れて貰えたのかも。

やっぱりお客さま第一の素晴らしい考えの人だなって感心していた。


「あちらと、あちらの料理は私の店から提供させて貰いましたので、是非食べてみて下さいね!」


「ハイ!では早速頂いて来ますね!」


そう言って料理を取りに向かった。

やっぱり間違いない!流石だ。

勿論他の料理も美味しい!

とりあえず色々試していた。


「この度は新規プロジェクト立ち上げとなりまして、関係者各位の皆様には大変お世話になりました。先ずはプロジェクトリーダーからご挨拶を…」


と始まり、皆さんが拍手していた。


製薬会社ともなれば将来関わりも有るかも知れない。

プロジェクトにも興味があったのでちゃんと聞きに行こうと私も皿を置いて前の方へ行った。


立派そうな人が立派な挨拶をしていた。

内容も立派だった。

こう言う研究に携われたらやりがいありそうだなあと思っていた。


「続きまして、この度のプロジェクト立ち上げに賛同して頂き多大なるご尽力を頂いた三ツ矢グループの代表の方からご挨拶を」


そう言って紹介されて拍手で迎えられたその人は…



スーツを着た悪魔…オオカミ…








ツヨシさんだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る