第5話 目撃証言

その場を目撃したという少女は驚くべき証言をした。

テレビカメラは最初からずっと回りっぱなしだ。全国の家庭の全チャンネルで生中継されている。


「ちょっと離れているところに教頭先生が居てそこへ黒木さんが近寄って何かお話ししていたんです。すると教頭先生が頷いて黒木さんに封筒を渡していたんです。ひょっとしたらお金を渡していたのかも知れません。黒木さんが城川美波さんを売り渡していたのかも!」


「黒木さんのお家だというところに連れ込まれてベッドのある部屋に押し込まれたんです。直ぐにドアに鍵を掛けられて泣いても叫んでも誰もあけてくれなかったんです。泣きつかれていた時にドアが開いて素っ裸の教頭先生が部屋に入ってすぐにまた鍵を掛けられたのです。そしてそして……衣服を無理やり脱がされて下着を破られて逆らうと頬をなぐられて、とうとう!」

しばらく時間をおいて美波は声を振り絞って言った。

この事を誰にも言うなと脅されました。「ほらあそこにもこちらにもカメラが有って一部始終を撮影していたからな。もしお前が誰かに言ったらこの画像が世界中に流れることになるぞっ」て!」

美波は号泣した。周りには生徒からテレビを見て駆け付けた父兄や各局のテレビカメラが集まって来ていた。父兄の怒声が聞こえる。


「で、どうなんだね黒木教頭反論出来るかね?」

校長先生が詰問する。

「いいえ御座いません」

教頭も観念したようだ。

「わたしも辞表を出した方が良さそうだな」

校長も決心したようだ。黒木葵らの事といい、俺が担任や教頭に虐められていることを相談しても無視されたり「虐められる君の方に問題が有るんじゃないかと言い放った教頭の態度も明らかにしたから校長もただでは済まないだろう。部下の監督不行き届きとかで叱責を受けるだろう。その前に全国の家庭や教育現場でこのテレビを見られたのだ。無事では済むまい。

俺と美波は万人の目の前で天に昇って姿が薄れていってやがて消えたように見せた。

その後警察が呼ばれて教頭を警察署に連行していった。

黒木葵と黒木教頭は姪と叔父の関係だったらしい。以前から今回のような行いをしていたようで余罪が厳しく追求されるだろう。


魔王国に帰って来た。するとなぜか人々の願いの想いがどっと押し寄せて来た。大抵が私の学校のいじめ問題を解決して下さいとかいうものだった。

俺は正義の味方じゃないからそいつらの願いを叶えてやる義理は無いが聞いているとむかむか腹が立って来たので、

【大魔王ヘクソンガー】として一言ってやろうと全世界に発信した。


『我は【大魔王ヘクソンガー】である。近頃この世界では虐めという腹立たしいことが起こっているようだ。気に入らないのでそのようなことをするものは自動的に無残な最期を遂げるような呪いを掛けることにした。言っておくがこれは我の気分を害した者への報復であって誰かの願いに応えたものではない!ゆめゆめ疑うべからず!』


その瞬間世界中で異変が起きた。人を殴ろうとした者は手を骨折して、蹴ろうとしたものは足を骨折した。悪口を言う者は言葉を喋れなくなりスマホやパソコンで悪口を書き込もうとすると手が動かなくなった。

それは幼稚園児から、小学校、中学校、高校、大学構わず、職場でも老人会でも同様であった。


更に小国を大国が武力で攻めようとしても、ミサイルは発射出来ずにその場で自爆した。戦車もコントロールが出来なくなって自軍に突っ込み、大砲を味方に発射した。それは飛行機でも潜水艦でも戦艦でも同様であった。攻撃しようとすればするほど自国の被害が増大するのであった。


続く

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