ハイ・ファミリア
Sora-Kurono
プロローグ
グオォォォォーーー!!
光の渦が世界を飲み込む。
崩れる空。砕ける大地。終わりの音。
「おい、ミーシャ!」
黒猫が叫ぶ。
その瞳に広い世界など映らない。
ただひとりの少女だけを追っていた。
「大丈夫」
金の髪が光に揺れる。
「ちゃんと迎えに来てよね」
少女は笑い、光に消えた。
「ミーシャ……」
それは呼び声か、願いか。
あるいは、ただのみゃーんだったのかもしれない。
その日、世界は救われた。
世界は祝った。
世界は讃えた。
——大魔法使いミーシャを。
そして黒猫は失った。
大魔法使いミーシャを。
世界は救われた、大魔法使いミーシャの手で。
そして黒猫は失った、大魔法使いミーシャを。
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