第2話
未だに呆然としている、二人を現実に戻すように透けている猫は、「ピニャァ!」と一声した。
律は目の前にいる猫に呆気に取られているのと同時に、瑠璃は状況を把握できないせいで過呼吸を起こしていた。
二人が来ないことに苛立ったのか、猫は瑠璃の近くまで来た。
瑠璃の背中をさする律を横目に、瑠璃の膝元で喉を鳴らし「ンナ…ン〜」と足を押してくる。
足を押す場所はほんのりと暖かく、瑠璃はゆっくりと呼吸を整えていった。
数分もせず落ち着きを取り戻した瑠璃は膝元にいる猫に気が付く。
「えっ…すっ透けてる猫…?と律…。えっと…ありがとうね…?」
瑠璃は猫が透けている事に驚きつつも、律と猫に感謝を伝えた。
律は安心した表情で照れくさそうに髪を触り、猫は満足気に「ンビャ!」と喉を鳴らしながら鳴いた。
「もう暗くなったな…」
「そうだけど…ここどこだろう」
二人は辺りを見回すが、暗くなってしまった為なのかよく分からない。
猫は二人の声に落ち着きが取り戻された事に気が付いたようで「ンピャ」と鳴き、二人の視線を集める。
透けている猫は辺りを照らすように、瑠璃の膝元でぽわっ…と柔らかい光を放っていた。
「光っえっ透けて…るよね…?本当に君は…猫なの…?」
「…ン!」
「そうだよ!」と言わんばかりの誇らしげな顔で、瑠璃を見て鳴いた。
「まぁ…この猫が助けてくれたし、他に人いないか探してみるか?」
「確かに探してみよっか。何か知ってるかも」
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