無名の終焉、箱庭と
雪猫琴梨
第1話
二人は高校からの下校途中、今日あった出来事を話し笑いあっていたところだった。
いつものように律は瑠璃の手を軽く引き「行こうぜ」と笑うと、瑠璃は「またあのゲーム?」と笑いながら下り坂を歩こうとしていた。
バチッ…バチッ…と電線が火花を散らしながら揺れ、大きな音と共に地震が町全体を包み込んだ。
地震の揺れで二人はよろけてしまい座り込んでしまったが、周囲の人々も同様によろけ地面へと座り込んでいた。
「早く収まって欲しいね」
瑠璃は言っていたが目に涙を浮かべていたのが見える。
瑠璃を包み込むように「本当にな」と律は言い、肩に手を回してさすっていた。
程なくして揺れが収まったかと思うと、キーン…と金属音や甲高い声の様な音がなる。
次の瞬間、激しく脳を掻き回されるような気持ち悪い痛みが襲ってきた。
周囲の人々も同じようで、頭を抑え唸っている。
「いた…い…り…つこわ…い」
瑠璃は痛みとどうしてこのような痛みが来るのが分からない恐怖で不安なのか律を呼んでいた。
律も同じように激しい頭痛が襲っているが、痛みや恐怖よりも好きな瑠璃を怖くないように抱きしめるように胸へ寄せた所で記憶が途切れた。
記憶が無い時に何があったのかは分からない。
ただ二人は気が付くと、凄く荒れ果てた住んでいたであろう町らしき場所に居た。
夕焼けの中呆然としている二人の前に、体が少し透けた一匹の猫が来る。
まるで「着いてこい」と言っているように二人を見ていた。
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