第7話 冒険者ギルド
ここが冒険者ギルドか。
入ってすぐに酒場があり、奥には受付がある。
「すみません、冒険者登録したいのですが」
「ああ、わかりました。それではこの紙に名前と扱う武器、魔法使いなら属性を書いてください。」
紙を受け取って項目を見てみる。
「紗奈さん、名前何にする?」
「うーん、私は月なのでルナにします。誠くんはどうします?」
「じゃあ僕は四条だし、テトラにしようかな。」
「なんかあまり男の名前のような気がしないですね。」
それは思った。テトラってやっぱり男子の名前じゃないよね。
「そうだよね。じゃあ、やっぱりテトにするよ。」
「うん、いいんじゃないですか?」
「そういえばさっきの受付嬢さん別に日本語でしゃべったわけじゃないよね。」
「そうですね。恐らく世界の管理人さんが何かしてくれたっていうご都合主義展開では?」
「それもそうか。字も自分でもよくわからない字を書けるみたいだしね。」
本当によくわからない。日本語で書こうと思えば日本語でも書けるのだが、普通に手がそれが当たり前であるかのようにこの世界の文字を書いてしまう。
「まず、名前はテト、武器は刀。属性は風属性っと。僕は書き終わったよ。」
「私も書き終わりましたよ。」
「じゃあ受付嬢さん、お願いします。」
僕と紗奈の分の紙を受付嬢さんに渡す。
「えーっと、テトさんとルナさんで、武器は刀、属性は風と火でよろしいですね?」
「おいおい、ここはガキの遊び場じゃねーんだぜ?風属性とかいう何もできない雑魚はかえって母ちゃんのおっぱいすってろ。」
「はい、それでお願いします。」
すまないね、咬ませ犬くん。入ってすぐには誰も話しかけてこないからテンプレはもう来ないのかと思ってたよ。そしてテンプレを演じてくれるなら最初は無視しないとね。
「おい、聞いてんのかこのガキ。さっさと帰れってのがわからんのか?ギャハハハハ」
「お、また新人狩りのサンドが絡んでるぜ?」
「うるさいなー。雑魚のくせにあんまりしゃべんないでよ。」
ごめんね?馬鹿にして。でも、ぼくにはテンプレを遂行するという使命があるんだよ。
まあ雑魚とか言っちゃったけど、そこまで強くはなさそうだしいいか。
「ああん?現実をおしえてやろうか?クソガキ。」
サンドさんが切れて剣を抜いた。
「剣を抜いたね?おじさん。」
緋璃刀を抜き放ち、一気に距離を詰めて剣を切断し、首筋に刀を突き付ける。
「ちょっと誠くん?テンプレを遂行したいからってそこまでやったらかわいそうでしょ。受付嬢さんが迷惑してるよ。」
「あーすみません、受付嬢さん。それで、登録お願いできますか?」
「あっ、はい。えーっと、先にギルドについて説明しますね。かなり実力がありそうなので試験をして受かったら初めからDランクになれそうですけどいかがですか?」
やっぱりこの世界ではその制度があるのか。ギルドの最初のほうの依頼ってめんどくさいからとばしたいし、受けたほうがいいよね。
「それでお願いします。」
「はい、わかりました。申請を受理します。それでは、試験の前にギルドについての説明をさせていただきます。」
ギルドにはFランクからSSランクまであり、SSランクは大陸全体で10人ほどで、Sランクも大陸全体で100人もいないらしい。AランクとSランク、SランクとSSランクには大きな差があり、SSランクともなると人間の域を超えているらしい。ちなみにAランク上位くらいになるとたいてい二つ名がつくらしい。
依頼は自分のランクの二つ上まで受けることができるが、推奨はしないらしい。ちなみに魔物もA~SSランクまでいるが、魔物のランクはパーティーで同ランクの魔物を倒せるという意味で、ソロで倒せるわけではない。パーティーのランクは全員の平均で、ギルドはパーティーを組むことを推奨している。
依頼については依頼ボードから紙をはがして受付へともっていけば受理され、依頼の期限内に達成できなければ罰則金を払うことになり、四回連続で依頼失敗するとギルドランクが1降格するようだ。
「今の内容について何か質問はありますか?」
「特にありません。」
「それでは、試験へと案内させていただきます。」
ギルドの奥からごつい男の人がやってきた。
「今回の試験を受けるってのはそこのガキか?」
「そうです。かなり強いですよ、ジークさん。」
「そりゃあいい。じゃあギルドの裏の闘技場にいくぞ。」
ジークさんについていくと、結界の中に丸い闘技場がある。周りには閲覧席があるようだが…
「この試合って公開するんですか?」
「ああ、いや。今回は公開しない。」
「そうなんですか。」
それでもあまり手札を切らないほうがいいな。電気系の魔法は使わないようにしよう。
「それでは、試合はどちらかがギブアップするか、戦闘続行不能と審判が判断すれば終わりです。それでは、試合を始めてください。」
「よし、先手は譲ってやるよ。」
「いいんですか?」
「おう、かかってこい。」
「それでは。」
緋璃刀を取り出し、居合の構えを取る。鞘に電流は流さず、刀を純粋な力だけで加速させる。
そして、刀を持っていきジークさんの斧を斬り落とす。
「うおっ、お前確かに強えな。でも、まだ終わりじゃないぜ?」
ジークさんが別の戦斧を取り出した。その斧は炎が吹き出しており、恐らく魔斧なのだろう。
「さぁ、こっからだ。ちゃんと受け止めろよ。」
「すみませんね、ジークさん。僕ちょっとこのあとこの街の観光したいんで手早く終わらせます。嵐装展開・攻撃術式・
嵐装展開。
「ガハッ」
ジークさんが
「僕の勝ちでいいですか?ちなみに彼は死んでませんよ?」
「は、はい。いいですよ。」
「それでは、ルナの分もランクアップ申請できますか?」
「えーっと、ジークさん気絶しちゃったので、テトさんとルナさんで模擬戦してもらえますか?」
「じゃあルナ、それでいい?」
「ええ、い、いいですよ。(き、急にさっきの名前で呼ばないでください。誠くんに呼ばれると恥ずかしいし…)」
紗奈さんは顔を赤くして慌てていた。
「えっと、だめだった?」
「ああいえ、別にテトくんとの模擬戦がだめというわけではないですよ。」
うっ。急にその名前で呼ばれるとあだ名をつける仲みたいだな。
「そ、その名前は、なんていうか、その、……」
「フフフッいつもいじられている分の仕返しができました。」
「紗奈さん、酷くない?」
ふと、目をそらすと受付嬢が生温かい視線をしている。
「あ、す、すみません。それじゃ紗奈さん。模擬戦始めようか。」
「はい、始めましょう。」
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