第34話 野手投げの...

その日の朝、監督は円になった一年生を前に言った

「明日、練習試合をやる。

 今日の内容で、明日のオーダーほぼ決める。」


その一言で一年全員の空気が変わった。

胸がドクッと跳ねる。

俺は俄然やる気が出た。

明日、投げたい。

絶対に投げたい。


監督は俺の方をちらっと見た。

「斎木。おまえ放課後も残れ。」


その瞬間、

胸の奥で“熱い何か”が生まれた。



放課後 ―

ブルペンの照明がつき始める時間帯。

グラウンドには一年が少し残っているだけで、静かだった。

監督は一塁側のブルペンに入ると、

ボールを一個持って俺に言った。

「カーブ。まだ“投げてるだけ”だ。

 ここから“落とすカーブ”にする。」

俺の喉が鳴る。


監督のカーブ理論。

監督はボールを指で弾くように握りながら言った。

「いいか斎木。

 カーブは“縦の回転”じゃない。

 “斜め前に強くこすり上げる”んだ。」

俺「斜め……?」

監督「そうだ。

 真上から落ちるようなカーブは中学生じゃ無理だ。

 でも“前に倒れ込む軌道”は作れる。」

監督がゆっくりモーションを見せる。


リリースの瞬間、中指で縫い目を切るように滑らせる

ボールは“外へ抜く”ではなく “前へ引っかけて落とす”

手首は返さない。むしろ固める

肘の高さをストレートより1〜2cmだけ上げる

回転をかける方向は「12時→5時」

監督「簡単に言うと――

   “縦に回るスピンの角度を作る”んだ。」

俺は何度も頷いた。




監督「見るだけでいい。取るなよ。」

キャッチャーが座り、監督はスッとセットに入る。

投球モーションは“野手投げ”。

ピッチャーの本気投げじゃない。

それでも――

球はミットへ向かいながら、途中で“ストンッ”と落ちた。

ズバァン。

捕手「監督、えぐ……!」

俺は言葉が出なかった。

野手投げであの落差って何だよ。

監督「100くらいだな。

   これが高校なら普通レベルのカーブだ。」

いや、中学生目線では“バケモノレベル”だった。

俺(やばい……こんなの投げたい……!)

監督はボールを俺に返す。

「よし、次は斎木だ。」


俺の投球。

ミットに向かって振りかぶる。

シュル……

ボールは緩く沈むが、回転が浅い。

監督「手のひらを返してる!返すな!

   前だ、もっと前で離す!」

二球目。

少し軌道が沈む。

監督「肘が低い!

   あと3cm上から振れ!」

三球目。

キャッチャーの体勢が少し崩れる。

捕手「お、さっきより落ちてる!」

俺には、落ちてる感覚はあまりなかった。

でも――

“縦のライン”に引き込まれるような回転が、初めてほんの少し出た。

監督はニッと笑った。

「よし。今のだ。

 その“回転の角度”を忘れるな。」

胸が熱くなった。




薄暗くなったブルペンで、最後の10球。

俺は疲れで腕が重かった。

でもカーブの回転だけは、何か掴めてきていた。

シュルルッ……ストン。

ミットがズレる。

捕手「いまの、落ちてる落ちてる!

   打者なら空振りする軌道!」

監督「よし。

   明日のオーダー……考えてやる。」

その一言で、俺の心臓が爆発しそうだった。

俺は絶対に今日の感覚を忘れない。


《投手能力が作成されました》


佐藤晃大(斎木晃大)

プレイヤーレベル16

ーステータスー

技能:65

筋力:32

知能:30

ー野手能力ーー

弾道:1

ミート:30

パワー:28

走力:35

肩力:36

守備力:36

捕球:12

ー投手能力ーー

球速:106km/h

制球力:12

スタミナ:50

球威:12

ー変化球ーーー

・カーブlv.1

ースキルーーー

・守備職人

・絶不調波形

・粘り打ち

・バント○

・ノビ○

ーアルティメットスキル

・無尽蔵体力



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