第4話 仲間が増えたので宿探したら王宮が用意されてた件

仲間(?)が増えた。

昨日までただのFランク探索者だったのに、

今日はイケメン騎士ランスが横を歩いている。


道ゆく人が俺たちを見るたび――


「うわ、本物の従者だ……」

「仲間第1号ってだけで称号つくらしいぞ……」

「尊敬……いや崇拝……?」


やかましい。心の声で言え。


とりあえず目的はひとつ。


住む場所だ。


ギルドの雑魚宿はもう期限切れ。

昨日の騒動でギルドに泊まる空気でもない。


「ランス、普通の宿屋知ってるか?」


そう尋ねると、ランスは真剣にうなずいた。


「もちろんです!

英雄にふさわしい場所を……!」


違う。

言い方が違う。

俺は普通の部屋が欲しいだけなんだ。

机と布団があれば充分。


ランスは胸を張って歩き出す。


「こちらです、ユウト様!

すでに下見済みです!」


仕事早すぎるだろ。


🏨到着した場所


「あれ……?」


俺の目の前にあるのは、宿屋……ではない。


王宮。


白い城壁。

大きな扉。

目の前には国王直属の衛兵たち。


俺は恐る恐る聞いた。


「……いや、ここ宿じゃないよな?」


「当然です!

英雄を雑魚宿に入れるなど国の恥!」


いや俺まだ朝食にパン食べてねえんだぞ?


衛兵が俺を見るなり姿勢を正す。


「英雄ユウト殿、ようこそ!」


言うな。

その肩書きもう封印したい。


「ご案内いたします。

すでに――居室、整えてあります。」


昨日から俺の人生、イベント速度早すぎない?


城内へ案内される途中、

使用人たちが頭を下げる。


「こちらに宝物庫級の寝室を……」

「家具は国宝級……」

「食事は一流の宮廷料理人が……」


いやいやいや!?

俺ただ寝たいだけなんだってば!


ランスが横でうんうん頷きながら言う。


「ユウト様は最終ダンジョンから帰還された英雄……

この扱いは当然です。」


いや違う。

俺は迷子になってうっかりドラゴン倒しただけ。


と思っていると――


部屋の前に、ひとりの人物が待っていた。


長い銀髪、刺繍入りの神聖なローブ。

どこか落ち着いた空気をまとった少女。


「初めまして、ユウト様。」


声は静かで優しい。

でも目が輝いている。

なんか危険な匂いがする。


俺が返事する前に、彼女は胸に手を当てお辞儀した。


「私は聖女リリアと申します。

本日より――あなたの祈りと意志の代行者です。」


いや役職がすでに怖い。


「あなたがパンを選ぶだけで国の運命が変わると聞きました。

その選択を私に共有してください。」


そんな大層な選択してねえよ!!

パン買っただけだよ!!


ランスは感動した顔で言う。


「ついに……仲間第二号ですね!」


だから勝手に増えるな臣下!!!


気づけば部屋の前には――


有能そうな従者、

無駄に豪華な家具、

そして聖女と騎士。


俺の生活はもう――平凡に戻れない。


Aボタンで寝ますか?

→YES/NO


いやゲームUI出すぎィィ!!!


⏩次回

第5話:ただ寝ただけなのに“奇跡の夜”として歴史に刻まれる件


(週2〜3更新/1500字前後)

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