第3話 パン買っただけで臣下が増える件

ギルドで変なランクにされた翌日。

俺は気分転換も兼ねて、町の商店街へ向かっていた。


目的は――


パン。


そう、ただの朝食。

もう昨日のアレ(英雄扱い)は忘れたい。

日常が欲しい。平穏が欲しい。


……だが町の空気はすでにおかしかった。


すれ違う人たちが、俺を見て――


「あれが……」

「噂の黒竜王討伐者……」

「生で見たの初めてだ……!」


指さすな。

心の中で言え。


俺は気にしないふりをしつつパン屋へ向かった。


🍞パン屋「ムギの王国(手書き看板が可愛い)」


店主と目が合う。


「あっ……ゆ、勇……じゃなくて、お客様!!」


急に敬語!?

昨日まで普通に

「焼きたてあるぞ兄ちゃん!」

って言ってただろ!!


「パンください。普通のやつ。」


「ふ、普通のやつ……?」


そう言うと、店主は奥からパンを抱えてきた。


『黒竜王討伐者専用・名誉のパン(黄金仕上げ)』


意味が分からん。


いやほんとに何???


「いや普通の白パンでいいです。」


「あ……“謙虚”……!?」


違う。


俺はただ一般的な栄養を求めてるだけ。


結局、強制的にその黄金パン買わされた。

重い。なんか光ってる。やだ。


店を出ると――


パン屋前に人だかりができていた。


なにこれ。

何の行列?


と思ったら。


「ユウト様!!!」

「ひざまずけ!英雄様のお通りだ!!」


周囲の人々が、急に片膝をついた。


いやいやいや!?

俺パン買っただけ!!!


すると群衆の中から――

鎧姿の青年が歩み出た。


金髪、整った顔、剣を背負ったイケメン。

ただし雰囲気はめちゃくちゃ固い。


「初めまして……!私はこの国の冒険騎士団所属、ランスと申します!」


いきなり名乗り挙げられた。


ランスはキリッと俺に敬礼する。


「ユウト様の行動――昨日の黒竜王討伐。

そして今日の、“パン屋でただ普通に買い物する姿”……」


(普通だよ?ほんとに。)


ランスは拳を握りしめ、目を潤ませた。


「――まさに英雄の風格!!!」


違う違う違う違う違う!!!!!!


パン買ってただけだから俺!!!


ランスはそのまま跪き、頭を下げた。


「どうか……どうか!!私を――」


息を吸う。


嫌な予感しかしない。


「――あなたの臣下の第一号にしてください!!」


\うおおおおおおお!!!/

周囲の人々が盛り上がる。


いやいやいやいや!!!!

断る理由探させて!!!!


そして極めつけが――


【新クラス候補:『従者管理者(サーヴァントマスター)』解放!】

Aボタンで仲間にしよう!


画面邪魔ァァァァ!!!!


なんで仲間加入システム出るの!!?

俺はただパン食べたいだけ!!!


ランスはまだ跪いたまま待っている。


周囲は期待に満ちた目。


……押すボタンは、

Aボタンしかない。


カチッ。


【ランスが仲間になった!】


Oh nooooooooooooooooooo!!!!!


⏩次回

第4話:仲間が増えたので宿探したら王宮が用意されてた件


(週2〜3更新 / 1500文字前後)

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