紫陽花とテスト

 梅雨になった。雨は降るわ片頭痛で頭は痛いわで最悪だ。傘を忘れることなんてない、と思うけど一応予備で自分のロッカーに折り畳み傘を入れてある。まあ、問題はそこじゃない。


 中間テストまであと3日なのだ。課題は山程だされた。…2〜3週間前に。

 今目の前にあるこの新品同然なワークたち。流石にやばいから、昼休みと放課後を使って勉強することにした。放課後は部活をサボることになる。1人じゃ絶対できないしやらないから、心強い仲間を呼んである。俺の横にいるのは課題を既に終わらせ、自称頭が良いという高城。向かいにいるのは教え上手だけど課題は終わってない晴希。そしてその隣で半泣きになっている海崎おばかさん。四分の三が課題を終わらせてない状態だ。…心配だ。


「え、晴希はワークすぐ終わりそう?」


「ん〜、まあできるけど。なんで?」


「いや、俺が悠真に教えて、晴希は海崎をみる、みたいに一対一のほうがいいかなって」


「あ〜、じゃあ海崎とペース合わせてやるね。よろしくな、海崎」


「まじ?俺晴希とやんの?やったー!」


「なに?俺は嫌だったのかよ笑」


「いや違うって、晴希さんめっちゃ教えんのうまいんだもん」


 そんなこんなで勉強会が始まったのであった。




「海崎せんせー、関数と方程式って何が違うの?もうまとめちゃって良くない?」


「いやだめだろ笑。そうだな、わかりやすく言うと…」


 説明を聞きながらちらっと前を向いて、固まった。


「えー、ここわかんない」


「それはさっき教えた公式使えるんじゃない?これはどこに代入する?」


「それは、ここ!」


「正解!できんじゃん」


 内容はいいんだ、内容は。ただ教え方が…。なんでわざわざ晴希は海崎の後ろに立ってバックハグ状態で教えてんの?当たり前なの?距離感…え?

 固まってる俺に気づいた高城が俺の視線の先を見る。


「なんでそんな体制で教えてんの?笑」


 聞きたいことをストレートに聞く高城。俺もそれに便乗した。


「おい、人前でイチャイチャすんなよー」


「そうだよ、悠真が羨ましそうに見てたんだから。俺の説明も聞かずに」


「なっ、違うし」


 こっちに被害が飛んできた。味方じゃないのかよ、こいつ。


「悠真がああしてほしいならしょうがないなー、もう。俺もそうやって教えてあげるよ。」


「えっ、がちで違うっ」


 俺の抵抗も虚しくバックハグされる…が、少し身長が…。俺の手元がなんとか見えてる感じだった。


「おまえでかすぎ笑」


「そっちが小さいだけだろ笑」


「うるせー」


 今日の勉強は目標の半分しか進まなかったのは言うまでもない。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー読んでくださる方、応援してくださる方、いつもありがとうございます。

完結まで書く励みになっています。


他愛のない男子高生の日常を優しい目で読んでいただけると幸いです。


同時に他作品をもうひとつ書いています。

そちらのほうが先に完結まで辿り着いてしまいそうです(笑)

ぜひともそちらも読んでいただけると嬉しいです。

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