道は容赦なく続ていく。
彼は立ち止まることが許されない。
この物語の主人公は、驚くほどまっすぐだ。
逃げない。投げ出さない。責任を人に押しつけない。
誰かを守るために動き、できる限りの最善を選び続ける。
だからこそ、読み手は何度も考えさせられる。
彼は本当に、どこかで間違えたのだろうか、と。
物語が進むにつれて明らかになるのは、
「正しい行動を取ること」と「状況が好転すること」は、
必ずしも同じではないという事実だ。
むしろ、正しさが積み重なるほど、逃げ道は減っていく。
この作品には、分かりやすい救いが用意されていない。
敵は存在するが、誰か一人を悪と断じれば終わる話でもない。
吸血鬼も、人間も、それぞれに守りたいものがあり、
その衝突の中で、遥だけが立ち止まることを許されない。
「もっと別のやり方があったのでは」と思う瞬間は何度も訪れる。
だが同時に、遥が選ばなかった選択肢に、
本当に胸を張れる答えがあったのかも分からなくなる。
読み終えたあと、気持ちは簡単に整理できない。
ただ、ページを閉じた後も、
「自分ならどうしただろうか」という問いだけが、静かに残り続ける。