直通テレポートで異世界焼肉屋、始めました! 〜特にドラゴンの肉が美味しいんだけど!〜
飯麦 食飲
第1話 死して叶える夢
「それで。二つだけ願いを叶えるぞ。何が良いか?」
ある少女が真っ白な部屋でキラキラとした目で神と名乗る者を見つめて口を開く。
「異世界で………焼肉くいーんを営みたい!いや、それを食べてるだけでもいい!お願い!いや、お願いします!」
この少女には何があったのか。過去を遡る。
◇
2028年。東京に大統領の公演を聞いて褒め称えている少女がいた。彼女の名前は
ちょうどその時、大統領が壇上に上がる頃だった。大統領は開始の宣言をし手を挙げ–––––––
ブシュュッ!
誰かの手が吹き飛んだ。
数秒の沈黙の後、あたりはものすごく騒ぎ出した。だがそれを止めるように2発目が撃たれた。それも、大統領の胸に。
「カハッ!ゲホッ!グガッ!」
マイクが大統領のうめき声を聞き取り流れる。皆が逃げようとするが現場はパニック状態。将棋倒しになり身動きが取れなくなった。大統領の側近達が発撃主を探すも空中から弾が飛んで来るので意味が分からない。
皆が
『次は、私だ。』
正義心なのか地獄の日々から離れられる感動からか何もせず、ただ両手を挙げ叫んだ。
「私は…!私はここだ!好きなだけ撃て!だが、他の民は傷つけるな!いいか?!」
すると騒ぎを聞いた警察官が私のところへ駆け寄った。
「時透さん!何をするんですか!?位置を悟られると危険です!」
警察官さん…。すみません…
「離してください!!!これは民のためです!」
この美晴の行動が面白かったのか、発撃主と思われる人が上空から現れた。そして、笑った。
「クハハハッ!あなたは面白いですネェ。まあ死ぬ前に名を明かしておきましょう…スタートリッパーのキングと申しますネェ。本当は生かしておきたいんですけどネェ。まあ依頼人からの名なのデェ…来世で会えることを楽しみにしてますネェ。では。さようなら。クククク…」
スタートリッパーのキング…
そのあとは全く覚えていなかった。
バンッ!
発砲音が聞こえたのはこれが最後だった。
美晴は死ぬと思った。だが次に起きたのはあの、白い部屋だった。
◆
って訳だった。
「…条件を飲もう。だが、もう一つの願いはどうするんだ?」
神は頭の上にはてなを浮かべて聞いた。
「それはもちろん………日本の黒毛和牛を仕入れたいです!!!政治家だったんでお金の扱いも上手いと思うんで!」
まじか…と言うような顔をした神に私は期待の目を見せていた。
「…わかった…お主をリキリア王国の丘の上に転生させてやろう…何をするも良いぞ…」
「あ、ありがとうございますぅ!!!」
私は土下座した。目を瞑った後にはさっきの白い部屋ではなく緑豊かな高原が広がっていた。遠くにはデカい城に街並みが広がっていた。
「うわぁ…!す、すごい…!私、ここで異世界焼肉くいーんを営めるんだ…!…あっそれはそうと神様が言ってたな…異世界行ったらステータスオープンって言えって…えーっとこうかな、ステータスオープン!!!」
美晴が叫ぶと目の前に文字が現れた。
「えーっと何何…?」
––––––––
ジョブ:コック・建築家
体力 150
レベル 1
攻撃 25
防御 25
特攻 10
俊敏 45
魔力 5000
スキル 言語習得・鑑定・直通テレポート・建築・器用
加護 ライナード様の完全防御
––––––––
「え。な、何これ…俊敏とかはまだしも魔力量とか言うやつなんで5000もあるの…?賢者?なにそれ…。スキルも意味わかんないのあるし…言語習得はいろんな言語使えるとかでしょ?ってか直通テレポートってなんなの…。これって絶対見せちゃダメだよね…」
いじれそうだったので適当にスキルの直通テレポートってやつを押してみることに。
ぽちっ
するとこんなテロップが出てきた。
––––––––
音声案内機能を追加し、再生しますか?現在よりはるかな情報を入手できます。
はい・いいえ
––––––––
ん?まあいいや。はいっと。
美晴がはいを押すと、画面の隅にミニスカの女の子が出てきて言った。
『こんにちは!私はサポーターのリリって言います!よろしくです!マスター!それで、直通テレポートのスキル説明がまだでしたね!では、説明いたします!』
ん…
『直通テレポートは、マスターの故郷、日本へテレポートすることができるのです!』
え。普通異世界転移とか転生とかって故郷に帰れないから魔王とか倒して元の世界に戻れたーとかじゃないの…?
『いえ!現在は魔王が先代勇者によって封印されており、国の四大魔術師が封印結界を張り替えています!他に説明はいりますか?』
うーん、今はいいかな…とりあえずこの建築ってスキルで家とか店とか作ってみたいんだけど、どう?
『いいですね!ではまず…』
意外とリリとの会話が弾み、時間を忘れて話し合っていた。
『ああ…もう日が暮れちゃいますね…今日は街へ行って宿で休みましょう!お金は一白銀貨しかないので…冒険者ギルドか建設ギルドで登録し、身分証明証代わりに使いましょう!』
わかったよ。
美晴は街と夕焼けを見ながら丘を降りていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます