動いた彼ら

Nui

前座

 さて、皆さん。こんにちは。名のない世界へようこそ。……え? 私? いえいえ、名乗るほどのものではございません。私はこの世界を説明するためだけに作られたモノなのですから。名を持つ必要がないほど、私は“誰でもない誰か”ですよ。


「これ以上質問されても困りますし、役目を果たさせてもらいましょう」


 ここは言わば劇場や映画館のようなところ。今からはとある方々がそれぞれの人生を演じて語ってくれます。そこでどう思うかは貴方次第です。そして今後どう考えていくのか。――そろそろ彼らの準備が終わったようですね。ならば私は退散しましょう。では皆さん。


「――あったかもしれない、彼らの人生を観てみましょう」

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