07.体育祭~練習編

 今日は体育祭の練習!

 ということで、放課後に学年対抗リレーの選手が校庭に集められた。

 リオンは見学したいと騒いだけど、部活(漫研)に行かないといけないのだと、泣く泣く去って行った。


 元魔王様が漫研ってどういうことなんだ?

 現代の日本のメジャーな文化に触れたいのだと言っていたけど、真野さん(リオンの元側近で、今はパパ)に借りた漫画が面白かったから、というのが本音だと思う。

 ちなみにアイリと火渡くんは柔道部、ケントは科学研究同好会に入っている。

 私は堂々の帰宅部。

 普段だったらユウキとアコと三人でだらだら帰りながら、コンビニの新作スイーツを三等分しているところだ。


「じゃあ、男子は校舎側、女子は校庭の奥側並んでー」


 体育の先生に従って並ぶ。

 パシッと手を叩く音がして、各学年の一組の男子が走り始めた。

 ルイは二番目を走っている。

 一番の三年生のすぐ後でバトンを受け取って、勢いよく飛び出す……!

 三年生とほぼ同時に二組の男子にバトンを手渡せた。

 走り終わったら、ルイとバトンの受け渡しの練習をする。


「エミリも陸上部入ればいいのに」

「やだ。私はのんきで平和ぼけした女子高生ライフを送るんだ」

「せっかくいい足してるのに。触っていい?」

「ダメですけど!?」

「じゃあ、彼氏にしてくれ。平和な女子高生には彼氏の一人くらいいるだろうし、彼氏になったら足も触っていいだろ?」

「ノー!!」


 リオンもルイもすぐそういうことを言う。

 手でバツを作って見せたら、ルイが苦笑してバトンを差し出す。

 受け取ろうとしたら、反対の手で掴まれた。


「んえっ!?」

「エミリ、手えちっちゃいね。かーわいい」

「うへ、離してよ」


 思ったより大きくて、ソワソワしちゃうから。

 ていうかルイ、大きいな……?

 見上げると、私より頭一つ分は大きい。

 リオンはもっと大きいから気づかなかったけど。


「どした?」

「や……な、なんでもない」


 ルイは「そう?」っていつも通り笑って手を離す。

 いつの間にかリレーは終えていて、各クラスで走るフォームやバトン受け渡しの練習をしていた。

 先生が、また手をパシパシ叩いて注目を集める。


「はーい、練習おしまい。あとは体育祭の予行で最後の確認するから、それまで各クラスで練習するように。解散!」


「じゃあ、俺部活行くわ。また明日」

「う、うん。また明日」


 ルイはひらひらと手を振って走って行った。

 うーん。思ってたより背中も広い。

 前世では鎧を着けてたから気づかなかった。

 だからなんだって話なんだけど!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る