第9話クルースのM712

「ねえ?クルース、この十五年式拳銃だっけ?家の領地で量産出来るかしら?」


 アルヒミストカがブローバックしたままの十五年式拳銃を持ちながら言う。


「具体的にどのくらいを作る気ですか?」


「一万人分くらい?」


「戦争でもする気ですか?」


「いや、違うわよ。山賊とか海賊とかに対応出来る様に配備するの。」


「なるほど…?」


「それで…出来るのかしら?」


「まぁ…出来ると思いますけと、その前に弾薬の調達を考えませんとね…」


やっぱり、最初に直面するは弾薬問題だ。

弾薬がなければ銃なんてただの鈍器に等しい


「お姉ちゃん!今の何か破裂する様な音はなぁに?」


「あら?カルピス?」


「おやおや、カルピス様なんでこんな所に?」


「クルース!タメ口でいいよ〜!」


「分かりました…どうしてここに?」


クルースは少し言葉を柔らかくし、質問する。


「なんか、大きな音が聞こえたから来たの」


「なるほど…銃声に引き寄せられたんですね。」


「銃声?」


「コレです!」


クルースは、ホルスターからモーゼルM712を引き抜き、カルピスに見せる。


「なるほど…コレ何?」


「銃ですよ銃、自分にとって危険な物を撃つ道具なんです。」


「なるほど…?」


「つまり簡単に言えば、殺してたり壊したりする道具ですよ。」


「へ〜面白そう!見た感じだけど魔力も使わないの?」


ある程度魔力に適応した人にはなんとなく魔力を感じ取る力強くがあるらしい。


「見てみますか?」


「見たい!見たい!」


「え〜見せるの?」


「カルピスお嬢さま、一応コレを耳に付けといてください。」


クルースはヘッドフォンをカルピスに渡す。


「え?なにそれ。」


アルヒミストカがヘッドフォンに付いて尋ねる。


「ヘッドフォンですよ、音を消音してくれるんです。」


「なにそれ!私が撃つとき貰って無いんだけど!?」


「1個しか無いんでね。」


「はぁ…なら仕方ないわね…」


「分かってもらえてなにより。」


クルースはモーゼルM712のショートマガジンを引き抜き、20発のロングマガジンに交換しさらにグリップにショルダーストックを取り付ける。


「では!撃ちま〜す!」


-------ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!-------


1秒間に21発の弾が発射され、20回往復したスライドはホールドオープニング状態で停止し、銃口からは白煙が薄く立ち上る。


「うわ〜!凄い!凄い!」


「エグ…」


一応、弾は全弾的に命中し、的はバラバラに砕け散っている。


「まぁ…こんな感じですかね?」


「ねぇ?クルース、なんか的に当てるコツはあるのかしら?」


「大和魂です。」


「は?」


すると…カルピスが…


「クルース!私の魔法も見て見て!」


カルピスは空気中から槍を生成し、その槍に触れずに槍を投げ飛ばす。

ちなみにこの世界では魔法の詠唱は、ほぼする事は無いらしい使うのは魔法を学校で習い始めた子供くらいだそうだ…


「えいっ!」


-------ドス!ドスン!ドッ!-------


木に全て刺さり、2秒後に槍は消える。


「おぉ!コレがカルピスの無属性魔法ですか…」


「うん!私の固有魔法を応用した物なの!」


「元はどんな魔法なんです?」


「複製魔法だよ!原材料が有れば取り敢えずなんでも作れる。」


「よっしゃ!弾薬問題解決!」


おっと…思わず喜んでしまった…


「でも、このミネロー公爵領に素材全部あるの?」


アルヒミストカは尋ねる。


「取り敢えず、石油や金属資源、硫黄があったんで大丈夫です!ゴムはありませんでしたけど…」


ミネロー公爵は物凄く広いため、大量の資源が埋まっている。


「あとは…公爵様から採掘許可と資源使用の許可を貰うだけですね。」


「分かった!じゃあ!お父さんに聞いてくるよ!」


「ちょっと!カルピス!?」


カルピスはそう言って屋敷の方へ消える。


「はぁ…お父さん、大丈夫かな?」


「どうしてです?」


「お父さん、娘の頼みが断れないから…特にカルピスの頼みはね。」


「あぁ…なるほど…」


カルピスの頼みもあってか、この後クルースに採掘許可と資源使用の許可が降りるのだった…

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