夜の闇には、音のない悲鳴が棲んでいる。
語り継がれる怪談、ふとした恐怖体験、そして冗談まじりの肝試し。
誰もが一度は耳にし、どこかで笑い飛ばしてきた「霊」や「祟り」の話。
けれどもし、それが「本当だったら」?
もし、あなたのすぐ隣に、気づかれずに立っていたのだとしたら?
旅の僧が出会った、不穏な夜と不気味な声。
深夜にドアノブを鳴らし続ける、正体不明の訪問者。
手の甲で手を振る少年、手の甲を打ち鳴らす逆拍手。
写真の中に写り込んだ「知らない女」が、アゴの骨を消し去った話。
これは誰にでも起こりうる、「少しだけおかしな日常」の物語。