第5話 レベルアップしてしまった

「パンパカパーン!!! 『HPが規定値を超えた。カンタスのレベルが1上がった。カンタスは新しいスキルを獲得した』 おめでとう、カンタス!!!」


「あああぁぁぁーーー!!! ちょっと、女神様、なんでこんなところにいるんですか!?」

 もう、昨日の夜から驚きの連続だよ。


「ちょ、ちょっと女神様! 目の前にいる高野さんの様子がおかしいんですけど、また何か仕出かしたんですか!?」


「どういう意味よ、それ。まったくカンタスのくせに生意気ね。アタシは時間を止めただけよ。今、地球上にいるカンタス以外の人間は、みんな動いていないわ。だから、そこにいる女の子は何のダメージを受けていないし…… っていうか、むしろ健全そうな体をしているわね、どれどれ……」


 そう言いながら、女神様は高野さんに近づき、彼女の胸をモミモミし始めた。


「まったく、最近の日本の女の子は立派に成長しちゃって」

 確かに、高野さんはかなり立派な胸をお持ちのようだが…… って、なに考えてるんだ、俺は!


「ちょ、ちょっと、何やってるんですか! セクハラで訴えますよ!?」


「なに興奮してるのよ。まったくカンタスはむっつりスケベなんだから」


「こここ興奮などしているものか!」


「……あからさまに動揺するの、やめてくれない? まあいいわ、とにかくアンタのステータスを確認してみなさいよ」



 言われるままに、心の中で『ステータスオープン』と唱えると——



 名前 : カンタス(田中寛太)


 カッコ内は、今回増加分の数値、あるいは補足説明


 レベル : 2 (+1)

 スキル : 超初級火・水・風魔法 (新規獲得)


 HP 1

 MP 100(+100 :レベル1上昇につき100追加)

 称号 : 目指せ恋愛マスター


 HP減少数 : 16 (+8) / 1日


 HP回復方法 : 女の子と会話する(1会話につき1HP回復)


 HP減少時間 : 9時30分から16時30分まで、計8回。1時間につき2HP(+1)減少

 但し、平日のみ



 ——これは、ヤバイ……


「なんですか、これ! 1日に減るHPが16って、どういうことですか! 1日に16回も女子と会話をする男子高校生なんて、日本に存在しませんよ!」


「……アンタの基準で日本人の高校生男子を語るの、やめてくれない? でも、アンタ、今日1日で16回以上、女子と話してたわよ」


「それは突発的な事故が起こったからですよ。話したというより、心配されただけですから」


「……じゃあ、明日も突発的な事故を起こしてあげようか?」


「ヒイッッッ! ちょ、ちょっと女神様、怖いですよ。そんなに睨まないで下さいって」


「いいこと? アンタは愛の女神である私が治める世界、ファンタスティアの住人なんだから、1日に16回女の子と会話するなんて、雑作もないことよ!」


「いや、でも俺、今ではすっかり内向的な普通の日本人になったんで……」


「ああもう、ウッサイわね! 今回は新しくスキルも授けてあげたんだから、それでも使ってがんばりなさい、じゃあね!」


「あああ! ちょっと待って下さいよ、女神様! 他にもいろいろ聞きたいことが——」


 言いたいことだけ言って、女神様は姿を消した……


 なんだよ、勝手なことばっかり言って。

 スキルなんていらないから、せめてHPの減少数を8に戻してくれよ……

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