十人十色な甘い春。盲目な恋でも、彼らがどんな「色彩」だったとしても。
- ★★★ Excellent!!!
主人公、鮫島。
彼は生粋のアニメヲタクだった。
だけど、ある日。
屋上で、幼馴染の河本に浮気され、挙げ句の果てには
「アニメオタクってキモいと思う」
と心無いことを吐かれ、そのまま疎遠となった。
苛立ちとも、失望とも、なんとも言えないドス黒くて気持ちの悪い「感情」を押さえ込もうとしていたところ。
伊藤という美少女が鮫島に声をかける。
彼女は発達障害を患っており、クラスの男子からは腫れ物扱い。
さらには容姿だけを見ていた元カレにも障害のことを理由に別れを告げられていたと言う悲しい過去があった。
二人は何か共鳴し合う部分があって、自然に惹かれていくが……?
障害。
本作では障害について多く取り扱われており
「自閉スペクトラム症」
「ADHD」
など様々な生まれ持ってした病気を患っている人々が多く現れます。
今回は焦点をそこに当ててみます。
障害と聞くと、多くの人々は悪く思いますが、本作の主人公は障害についてこう語っています。
「障害っていうのは一種の特性で、色鉛筆のようなもの。それぞれが自分の色をもっていて、その色彩も豊か」
僕は、このセリフに強く惹かれました。
障害は障害だから、しょうがないよねで一括りするのではなく、障害は「特性」だからそれで輝けるものもあると。
主人公は皆が一人の人として接しています。
これは現代社会でとても大事だけど、できていないことが多い事象です。
ならば、みんなが特別な色を持つ色鉛筆だとしたら?
自分にしか表現できない一つの色。
誰かと一緒になって創り出される色。
使い道は自由。進み方も自由。その速さも自由。
これは一つの大きな絵画を完成させるために走る彼らが紡ぐラブコメディである。
捉え方は人それぞれ、少なくとも僕はそう感じました。
もどかしくとも、恥ずかしくとも。
きっとみんなでゴールに向かえる。