第17話 大人舐めんな

☆伊藤春風サイド☆


私は...芽郁と一緒に色々な買い物をした。

芽郁はその事に優しく接してくれた。

その事に私は笑みを浮かべながら芽郁を見る。

すると芽郁は「あのさ」と言う。

私は芽郁を見る。


「...アタシの事...優しく接してくれてありがとうな」

「私は全然構わない。芽郁が優しく私に接しているからそのお礼をしているだけ」

「...それでさ。話がある」

「うん」

「アタシは...奴ら。つまり河本関奈達に対策をした方が良いって思う。河本関奈は...論外だわ」

「...うん。私もそれは思った」


それを言うと芽郁は「アタシは奴のヒステリーにはコリゴリなんだよな。彼女達と話し合わないと全てが地に落ちる。...アタシは奴と話すのは御免だが」と話した。

芽郁の言葉に私は「ん。だね」と頷く。


「...アタシはアンタを友人として守りたいから」

「芽郁...」

「...アタシにはこうアドバイスしか出来ないけど。奴は異常だと思う。だから気を付けろ」

「ん」


私は納得しながら芽郁に頷く。

芽郁は「...」となりながら考える。

私はそんな芽郁に「そろそろ私の家に行かない?」と聞く。

すると芽郁は「だな」と話す。

それから私達は一緒に芽郁の家に向かい。

杏奈ちゃんを迎えに行ってから私の家に向かった。



「珍しい。春風が友人連れて来るって」

「ん。坂本芽郁さんと妹の杏奈さん」

「...初めまして」

「...」


杏奈ちゃんは周りを見渡しながらお姉ちゃんを見る。

お姉ちゃんは「私は伊藤桜な。宜しく」と自己紹介をした。

それから芽郁は「あ、はい」とぎこちなく返事をする。

お姉ちゃんは「よし。上がれよ」と笑顔になる。

そんな姿に芽郁は「あの。アタシを不審がらないのか?」と敬語に不慣れな感じを見せる。

芽郁のそんな言葉に「ん?何故?」とお姉ちゃんは聞いた。


「私は春風が連れて来た人は信頼しているよ?まあ一部論外としても」

「え?な、何故」

「そらアンタ。春風が信頼したからな」


その言葉に愕然とする芽郁。

「アタシは茶髪でイヤリングしてるし...」となる。

するとお姉ちゃんは芽郁の両頬を両手で挟んだ。

それからジッと芽郁を見つめる。

芽郁は目をパチクリしながらお姉ちゃんを見る。


「卑屈だなアンタ」

「...え、えっと」

「私の事を聞いたか?私はウジウジしたのが嫌いなんだよ。なんだよそんな外見してる癖によ?」

「...!」

「あんまりウジウジしてると張り倒すぞ?」

「...」


芽郁はバッと手で払いお姉ちゃんの手を剥がす。

それから俯いた。

そんな姿を見てからお姉ちゃんは「よし!」と八重歯を見せて笑顔になってから「なんか文句あるか?坂本芽郁」と言ってからお姉ちゃんは坂本芽郁を見る。

芽郁は「...ねぇよ」と否定をしてからそっぽを向いた。

杏奈ちゃんと私はその姿を穏やかに見つめた。



「ああ。杏奈ちゃんは緘黙と発達障害があるんだな?」

「...です」

「成程な」


取り調べみたいな感じでリビングで一対一で芽郁と話をするお姉ちゃん。

そんなお姉ちゃんの鋭い視線に芽郁も困惑していた。

私は杏奈ちゃんと漫画を読んでいた。

お姉ちゃんは「大変だったな」と芽郁を見る。

芽郁は「別に」と言いながらそっぽを向く。

するとお姉ちゃんは眉をピクッと動かしてから芽郁の頭を掴んでお姉ちゃんの側に向かせた。


「人と話をする時には目を見ろ」

「な」

「坂本芽郁。お前なら出来るだろ?」

「あ、ああ」


芽郁は圧巻されていた。

私はそんな姿を見ながらクスクスと笑う。

杏奈ちゃんが私を見た。

私は「お姉ちゃん。尻に敷かれてる」と杏奈ちゃんに言う。

杏奈ちゃんは「?」浮かべてから私を見ていた。


「で。お前が知ってるか知らねーけど私の妹には同じ様に発達障害がある」

「知ってるっつーの...」

「私は年上なんだ。敬語使え。敬え」

「あ、あはい」


芽郁は威圧に変な言葉が出た。

私は成り行きを見守る。

するとお姉ちゃんは「まあ...アンタも大変だな」と言いながら「私を頼れよ。困った時は」と言った。

芽郁は「あ?」となる。

お姉ちゃんは「それも禁止な。威圧すんな相手を」と芽郁に叱責した。

芽郁は「良いじゃね...じゃ無かった!良いでしょう別に!」と言い換える。

お姉ちゃんはそんな言葉に芽郁を激しく睨んでから「あ?」と威圧を放つ。

芽郁は汗を滲ませてから「何でもない」と否定をした。

萎縮してしまう。


「まあどっちでも構わないけどさ。私はアンタを友人と認めたい訳だな」

「!」

「...私はアンタを助けたいんだ」

「どいつもこいつもなんで...」

「悪が勝つのはほんの数パーセントだ」

「...」


芽郁は俯いた。

それからジッとお姉ちゃんはその姿を見てから苦笑する。

そしてお姉ちゃんは立ち上がってから芽郁を抱き締めてから「私は...アンタは妹の様に感じるな」と頭を撫でた。

芽郁は「さ、触るな」と否定をするがその手を払ったりは絶対にしなかった。


「アンタは子供だ。大人に甘えな。...年頃の娘だしな」

「いや。私は良い。高校生だぞ」

「の、割には震えてんな。泣くなら泣いても良い。誰にも話さないしな」

「...」


もはやなす術は無しか。

芽郁はお姉ちゃんの胸で縋り静かに泣き始めた。

「ただアタシを認めてほしかったんだわ。親に...」と震えて言いながら。

私達はその姿を静かに見守っていた。

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「ゴメン。やっぱアニメオタクはマジに無理かも」と言われて浮気?された挙句に幼馴染に棄てられた俺だったのだが? 楽(がく) @tanakasaburou

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