第18話 10.感想はすぐに出ない(いつも) 三月様

企画にご参加ありがとうございました。

あらすじの「家族合わせ」を検索してもう死にました。

私が三島由紀夫を好きな理由が、少年期の死との距離感、妹との距離感ですので、多分その作品はショックが強すぎて読めないと思います(吐血)。



感想にまいります。

私にとっては、「わかる」に触れない距離感の作品でした。(実はいつも。実はっていうか、もうみんな知ってる)

なので、思ったことをただただ書いていきます。

作品に対してというより、作品を通じて想起したことに近いです。


▶︎もう寝ましょ、と女が呼びにきて男はその場を離れるが、彼女の言葉に首肯した訳ではなく、いまは何の異常も見られないがこのもどかしい命は再び目を覚まして泣き喚き、排泄し涎よだれを垂らしてさっき肚はらに入った粥をのどに詰まらせても、それを宥なだめすかし何度も面倒を見てやらねばならないとき、文学士の学位など糞の役にも立たないからだった。


人間はどこから人間なのか。

生物としては機能は備わっていますが、自分と同じかと言われると。

普通の人は赤ちゃんから大人になるという連続性を当たり前に持ってますが、どこかに「ホントかな」と思う自分がいます。

そのようなものを背負ってしまうのですね。


▶︎そうですか。調子が悪いなら、すぐ仰ってください。


おたくは職場ですがこっちからしたらね!という。被害者として警察署で調書をとられたことがありますが、被害者でも億劫ですから。

とりあえず青年は事件にまきこまれてますね。

ちなみに三島由紀夫が宴のあとの裁判で出廷したときは緊張したと言ってました。


撃ち合いに関しては、仮面の告白の前半にあって、好きなシーンで重なりました。死んだふりをする公ちゃん。戦争と死。


▶︎大切なのは銃の数で、とにかく多ければ多いほど良かった。


なんだか納得。


▶︎突っ立って案山子かかしになる役と、散水用のゴムホースみたく銃口を振り回し弾をばら撒く主人公の役に分かれたとき、どちらも銃を握っていればより様さまになってみえたし、無抵抗の相手を撃ち殺したってなんにも面白くないからである。そういう点は、戦争とよく似ていた。


三島由紀夫の青少年が話したり遊んでる描写がすきなんですが、そんな感じがしました。


▶︎(初回講義に、講義での発言毎に平常点を与えるという旨が告知されていた)。


平常点!なつかしい。日常にない仕組み。


▶︎ええとそうですね。殺人の禁止の話では、生命というのが他の価値・利益より優先されるべきだというのが自分の考える理由で、さっき発言されていたことを踏まえると、人を殺すことが許されるのは、生命と釣り合う利益、だから他の生命を守るときに限られるべきです。

 なるほど。つまり殺人の禁止という命題には、生命という利益の保全という原則があり、さらに衡平つりあいという原則が適用される可能性がある訳ですね。

 まあ、そういうことです。

 先生は再び教壇に戻った。

 いくつか議論はありましたが、法、つまり規律ルールが自然に受け入れられていても、それを適用する際に並立する、たとえば衡平や自己責任といった規律、またはより高次にある規律も斟酌されていて、それらの間との関係はけっして自明ではありません。また同一性というのもありましたが、法自体が成立する過程にもある種の理念や原理が共有されていることを要するでしょう——と講義は続く。


赤ちゃんの生命、戦争ごっこ、法治国家の生命……命のバランスという繋がりでしょうか。


第2話は、色々話が動いているのはわかるのですが、感想はわかず。

と言っても、これは私が読む時によくあることなので作品がというわけではありません。


▶︎刃先で抉えぐられ皮膚に空いた穴、内臓と体外を繋ぐその瘻孔


深禮がそうであるかは女から見ると感じづらいですが、兄目線の深禮強いです。

 

▶︎いい部分なんてどこにあるんだ。

 なに?

 いや何でもない。鋏を貸してくれ。


一般社会でたびたびそう思うことがあります。

 

▶︎死んじゃう、と彼女がいった。

 どうかな、と青年は応えた。


守るもの等しければ仕方がない……のでしょうか。


▶︎溝渕さんはもともと心臓に異常があったようです。それに加えて、と続けて検事は別の項を示した。


ブッチー!!


▶︎青年は体をベッドに埋めて天井を見上げた。ここで人が死んだんだぞ。

 じゃあ私が向こうで寝てあげる。

 お前……。

 なに怖がってるの、お兄ちゃん?


女子は不思議とこう!



兄妹沼ぁ……(読み終わった後に出た言葉ママ)


生命、無邪気な戦争、法の下と法哲学の教室の白さ、裏社会の薄暗さ、死んだ指の異界感を潜り抜けてからの、妹。


妹のすぐ隣にいながらすり抜けていく感じ。

なぜか追ってしまう家族だから以上の何か。

体臭を感じた作品でした。


いつもより字数多めの企画でしたので、たっぷり読めて面白かったです。

ありがとうございました。

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