第2話 モンスターと進化

現状必要なのは、水と食料だ。

そのために、今俺はゴミ漁りをしている。



「ゴミも案外、馬鹿にならないな。」



ゴミを漁っている中で、様々な物を入手する。

ナイフや銃弾、ヘルメット、フライパン。

これらは、すべて使える武器だ。

モンスターと戦うとなれば、必要になってくるだろう。



食料問題も解決できた。

オーロラの外は地獄として語られていたが、実際は建造物が荒廃し、緑がより茂った自然豊かな空間になっている。

故に、植物から果実が育つため、食料困難を解決してくれている。

水分も、果実から出るので問題はない。



しかし、問題は果実が採れる場所でモンスターがいることだ。以前出会った、巨大なライオンほどではないが、オオカミにそっくりなモンスターが多くいる。というかあれはもうオオカミだろう。


「これでほぼ確定したな」


オーロラで学んだ生物は数百年前のモンスターの姿だ。進化の度合どあいは違えど、共通点が多い。

だとすると、オーロラでの学びは無駄ではなかったのだろう。



普段の俺なら、密かに果実を盗み出して逃げているのだが、このままでは成長できない。

逃げる技術だけが成長していては意味がない。

そのためにゴミ漁りで使えそうな武器を探していた。サイズ事態は、俺より小さいし何とかなるだろう。



続けてゴミ漁りをしていたとき、ついに見つける。

「あった・・ハンドガンだ!」

ついに探していたものが見つかった。

銃弾も、前回手に入れた弾で使える。

やはり、銃弾が見つかった場所でゴミ漁りをしたのは正解だったようだ。

「後は遠距離で撃てば・・・」




違うな・・・



こんな戦い方じゃだめだ。

おじさんは近接で、巨大なライオンを倒した。

あの動きができれば、きっとオオカミなんて・・



「って!  無理に決まってんだろーー!!」



あまりの無理難題に大声を出してしまう。

あんな動き、オーロラでもしている奴はいなかったし、あんなことができるなんて話もなかった。



おそらくだが、まだ俺が知らない要素があるのだろう。

そもそも、この世界で生きている人間は何人いる?

俺とおじさんが生きているのは奇跡なのか?



その疑問を払拭させる機械が見つかる。

この世界には、俺がオーロラで読み書きしていた文字が使われていた。

特に、看板に書いてあるこの表記、

「新宿?・・・」

その他にも、笹塚や野方。

聞いたことない地名があらゆる場所で書かれていた。ここら一帯が、その名前であることは間違いないだろう。となると、この地獄のような世界にも文明は存在していたのかもしれない。


そんな場所で見つけたある機械、オーロラにもなかったが、見たところ、ゴミを分解できる機械のようだ。そして、この機械を起動するには、ある物をかざす必要がある。形状からして、何かしらのカードだろうか?



そんな時、オオカミが果物の木に集まってきたいた。

「3匹か・・・」

果実をとって逃げることは可能だろう。だが、それでは俺の成長に繋がらない。



やるしかない。



あえて、正面から奴らに近づく。

オオカミ達も気付いたようで、こちらを威嚇する姿勢を見せた。

恐怖と緊張で強張りながら、俺はハンドガンを強く握った。

同時に、オオカミの一匹が向かってきた!

打てる弾数は6発。その後はリロードが必須となる。



俺は、恐怖のあまり焦って3発撃ってしまった。

しかも、それらすべてが当たることなく終わった。

「くっそ!・・・こんなんじゃだめだ!・・」

もっと集中しなければ・・・

勝てるだろうか?

死にたくない!

やはり逃げるべきか?

これらの感情はすべて雑音ノイズだ。



捨てろ。

今必要なことは相手を殺すこと。

それ以外は遮断しゃだん



その瞬間、なぜか俺は冷静になれて、一匹目を眉間に命中させた。

続いてきた二匹目、三匹目を躱しながら、両方の右足を撃ち抜き、フットワークの弱体化をした。



明らかな動きの鈍さを見て、俺は勝ちを確信する。

しかし、相手はモンスターであり、油断をするべきではなかった・・・



一匹のオオカミがダメージを受けながらまっすぐ直進してきた。

俺は冷静にリロードをして、先程と同様、頭を撃ち抜いた。    はずだった・・



なぜか、オオカミはその動きを止めず、まっすぐ走ってくる。そこで、高まっていた俺の殺意は、動揺に変わる。

「うっ! くそ!」

至近距離に来ると同時に俺は、ハンドガンを持った手でオオカミをはたいた。

それにより、二匹目のオオカミも死んだ。



けれども、それ自体が奴らの作戦だったのかもしれない。

二匹目がやられたと同時に、三匹目のオオカミが全力で俺を噛みちぎりに来た。

俺は咄嗟に腕を出し守った。

オオカミの飛びつきの勢いで押し倒され、オオカミは腕どころか、頭を噛み殺しに来ている。



その瞬間、俺の中にあったものは、殺意などではなく、痛みと恐怖だった。

「くそ! はぁ・・はぁ・・」

息も切れてきて、絶体絶命。

そんな状況である記憶がよぎる。


























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る