濃紺


次の日、双喧は新宿ダンジョン局に来ていた。

新宿ダンジョン局。

日本全国のダンジョン局を纏める総本山。

探索者やダンジョンの管理を一手に引き受ける場所。

そこの受付に探索者カードを見せると第3会議室に通された。

会議室に入るとそこには既に5名が座っていた。


『戦巫女』櫻川深鈴

『断鉄』山城育三郎

『残骸衆』遊佐なじみ

『番外戦術』鏑矢春翠


それと遊佐なじみの兄、遊佐肇。

他の2人は来ていないようだ。


「よう、久しぶりだなぁ鏑矢。元気っぽいな」

「あぁ、そっちも元気かい?」

「ま、ぼちぼちだな…」


ここにいる中では、よく話す鏑矢に聞く。


「なんの集まりか聞いてるか?」

「いや、僕もまだ聞いていない。それらしいことはなかったはずだけど…」


2人で駄弁っていると、わざとらしい足音と共に男が一人入ってきた。


『血盟愚者』早蕨雪平


ぐるりと見渡して空いている席に乱暴に座る。


「んだァ、まだアイツ来てねぇのか?」

「いや、いま来たところだ」


そう言いながら扉から現れ、雪平の隣に座る男。


マッド改造者サイエンティスト』氷川修


そして、


『走り屋』獅子堂双喧


以上、日本最高峰の探索者、濃紺の7人。

そして、職員が入ってくる。


「皆さん、お集まりのようですね。それでは、これから会議を始めさせて頂きます」


『ラテラルアーク』の配信映像を出しながら、職員は進める。


「先月、池袋ニマルダンジョン第6層にてオルトロスの姿が確認されました」


オルトロス。

ニマルダンジョンで確かに出現するが、その階層は少なく見積もっても約70階層から…。

とても浅い階層に現れて良いものではない。


「そのこともあり、全国の紺青の探索者十数組に調査依頼を出した結果、各地でも同様の事案が発生したとの報告を受けました」


今や世界規模でダンジョン資源に頼っている現在。

ダンジョンの浅い階層でそのような異常が起こっているとなると、日本各地で問題が起こるのは想像に難くない。


「そのことで関連性があるかは調査中ですが、一つ怪しい存在がおりまして…」


職員は、『ラテラルアーク』の配信映像の続きを映した。

そこには、オルトロスに命じている仮面の少年の姿が確認された。


「現在、ダンジョン局はこの少年が今回の異常と何か関連性があるのでは無いかと調査しております。そのことで、皆さんにも調査と警戒をお願いしたくお集まり頂きました」

「ふむ…、この少年を見たとしたら、儂らはどうすれば良いのかね?」


育三郎が問う。


「その場合は、出来ればでよろしいのでダンジョン局に来るようにお願いしてもらってもよろしいでしょうか?」

「それで、断ったら?」

「その時は、申し訳ありませんが臨機応変に対応してもらってもよろしいでしょうか?」


雪平がニヤァと笑う。


「そうだなァ、抵抗してくるんなら力尽くでも構わねえよな?」

「こら。別に彼が今回の異常を起こしているとも限らないんだから…」

「だがよ!ダンジョン局の要請に従うのは当たり前だろうがよ!それでも来ねぇなら、そんときゃしゃあねえよなァ」


雪平は、春翠に噛みつく。


「貴方はただ戦いたいだけでしょう」

「あぁん?それの何がいけねぇんだァ?」

「まだ、原因が決まったわけではないのですから、ここは慎重に…」

「んなことやって、被害が増えたらどーすんだァ」


職員が諌めながら言う。


「そうならない為にも皆さんにはご協力願いたいと言うのが、我々ダンジョン局の総意です」


職員は最後に言う。


「それでは濃紺の探索者7名に調査依頼を申請致します。内容はダンジョンの異常の調査と抑制及び仮面の少年の身柄の確保。皆様よろしくお願い致します」


これより、日本最高峰達が動き出す。



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