イレギュラー


渋谷ニマルダンジョン5階層。

『ホットサマー』は何度目かの戦闘を終える。


「ふぅ…、結構進んだな。そろそろ引き返すか?」

「そうね、デビュー戦だし無理は禁物ね」


地図によると、確かこの先に6階層への階段があった筈。


「近くに階段があるけど、どうする?」

「ん〜、引き返すのには賛成だけど、階段までを目標にするか?」

「確かにそれっぽい目標があれば達成感も一入ひとしおだと思う」


特に反対意見が出なかったため、階段までを目標とする。

道中、特に魔物に遭遇すること無く、階段まで来れた。


「特に変わらず、普通の階段だけど此処から下になると、出てくる魔物も変わるんだっけ?」

「そうね、確かコボルトだったかしら?」

「コボルトは武器持ちも居るから、僕たちには厳しいかもね…」

「んじゃ、階段まで来れたし引き返すとするか!」


5人は階段を後にして、引き返していった。


その後ろから、影が着いてくる。


◆◆◆


3階層まで来た『ホットサマー』は前方から来る複数の足音に気付く。

前から現れたのは、二人組の男達だった。


「お〜い、君達。今帰りか?」

「この先は止めとけ。イレギュラーが出やがった」


イレギュラー。

ダンジョン内にたまに出てくる強力な魔物。

その階層の1つ2つ上位の魔物が出てくる現象。


「ホントですか?」

「あぁ、倒せないこともないけど、帰りだからな。安全マージンは取りたいだろう?」

「実は俺達も帰り道なんです」

「そうかい!良かったら一緒に上まで帰らないか!イレギュラーが来ても困るし、良い回り道も知っているんだが」


達也は皆んなに意見を求める。


「どうする?」

「僕は賛成だね。経験者っぽいし、イレギュラーは避けたい」

「俺も賛成だな!」

「ん〜、そうね。人数がいた方が、消耗も減らせそうね」

「私も賛成」


達也は男達に振り返る。


「お願いします!」

「おぅ、よろしく」


「俺はガイ、剣士だ。こっちはハルト」

「よろしく、水術師だ」

「俺達はチーム『ホットサマー』。俺がリーダーの達也で風術師、こっちが剣盾使いの快斗、クロスボウ使いの涼、格闘の蓮二、炎術師の真凛です」


7人はイレギュラーを避けるため回り道をする。


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