夜明けの地.

ハァ……ハァ……ハァ!

「ハル、もう少し頑張れ! もうすぐ着くぞ!」

「うん!」

「おい! こっちだ! 早く!」 道の先で、石川さんが手をブンブン振って俺たちに合図。

「シノミちゃん! 戸上くん! 二人とも無事でよかった! マジでよかった!」

「おい、頭空っぽのバカ! 二人探すだけでなんでこんな時間かかってんだ!? もうすぐ最後の避難車が出ちまうぞ、知ってんのか!?」

「って、ちょっと待て! この子供は誰だ? んで、二人で誰を支えてんだ!?」

「長く説明してる時間ねえ、ネネ! 救護班はどこだ!? この人、重傷で、急いで治療しなきゃ!」

「分かった! でも、後でちゃんと説明しろよ!」

……

「ご安心ください! 今すぐこの方を最寄りの医療施設に運びます!」

「坊主、心配すんな! 絶対にお前のママを助けるからな!」 救護班、女の人と子供を避難車に乗せて、このエリアから去る。

「ちょっと待つことになるな、こりゃ?」

「じゃ、話せよ、蓮! 一体何が起きた!?」 石川さん、怒り抑えてるみたいな顔。

「ネネ! 待て! 痛えええ!!!」

「ネネちゃん、聞いてくれ! 小林さん、何も悪くねえんだ。俺たち、ちょっと道に迷って、さっきの女の人を助けてただけ。蓮、ただ手伝いに来ただけだよ。」

「シノミがそう言うなら本当だろうな。でもよ! こいつがいつもフラフラしてお前ら見失ったのは事実だろ!?」

「ヒィ!」

「まだなんか言い訳あんのか、蓮くん!?」

「いい加減にしろよ、石川さん! 許してやれよ! アイツ、めっちゃ頑張ったんだから。」 俺、ガクガク震える蓮を庇う。

「そうだ! 石川さん、ケイはどこだ? ケイ、見なかったか!?」

「ケイちゃん? さっき、前の避難車でクロガネさんや星間さんと一緒に出たよ。安心しろ! みんなくそ頼りになる連中だ。川崎先生も一緒だしな。」

「川崎先生なら、安心だな、ハル? すげえ優しくて丁寧だし、特に子供には。」

「でも、歴史の授業でそれくらい優しくてくれたらな。」

「バカなお前がいつも点低いからだろ! 川崎先生だけじゃねえ、学校の先生たち、お前で頭抱えてるぞ、蓮。」

「俺だって頑張ってんだよ! ただ……俺、分かんねえことは勉強できねえんだよ。な、ハル?」

「ハル!?」

俺、モヤモヤする。もしケイがクロガネさんと前の車で出てったなら、さっきの奴は誰だ? クロガネさんに似てる奴だったのか、それとも戻ってきたのか? またしても、聞くの怖え。俺、頭ん中でグルグル考えながら、ボーッとする。

「パン!」

「痛え! 何すんだ、シノミ!?」

「地球に引き戻すためだよ。ハル、いつも変なタイミングで固まっちまうよな。」

「でも、変じゃね? 真夜中にいきなり爆発だぜ? やっと天災終わったのに、今度はガス爆発の連鎖だと?」

「石川さん、それ、事故の爆発じゃねえよ。本当は……」 シノミ、急に俺の服の袖をギュッと掴む。まるで石川さんに知られたくねえみたいな。

「バカか、ネネ!? そんな事故の爆発で、こんな大規模にぶっ壊れるわけねえだろ! お前、そこであいつらが全部ぶっ壊してたの見てりゃ分かったはずだ! アイツらのせいで、俺たち、もうちょっとで帰れなかったんだぞ!」

「それ……なんかヤバそうだな……じゃ、天才蓮様、その話、詳しく教えてくれよ?」 石川さん、目を細めて俺たちを見る。

「いいぜ、目ん玉ひん剥いて聞けよ、ネネ! 今回の騒ぎの本当の原因はな……」

「ムグムグムグ!」

「お前ら、何やってんだ!? 俺に隠したいことでもあんのか?」 俺が蓮の口を塞いだ瞬間、ネネ、ますます疑う顔。

「何やってんだ、ハル!? ネネに教えてもいいだろ!?」

「もしお前が話したら……さっきの恥ずいセリフ、バラすぞ。」 俺、蓮を引き寄せて、耳元でコソッと囁く。

「なんでだよ!?」

「とりあえず、俺の言う通りにしろ。後で説明するから。」

「蓮? さっきの話、結局何だよ?」

「ネネ……まぁ、その……大したことねえんだよ……だから……」

「ふーん……」 石川さん、まだ疑ってる顔。

「パン! パン! パン!」

「みんな、最後の避難車だ! 早く整列して、避難するぞ!」

その声、気まずい空気をぶった切る。

「避難終わったら、絶対全部聞くからな! さ、早くこのエリアから出るぞ。」 石川さん、簡単には諦めねえ感じ。

「みんな、秩序を守れ。ちゃんと並べ。押すな。車には全員分の席がある!」

ドカン!

その瞬間、何かが急に飛んできて、避難車をぶっ壊す。

「見てみろ!」

「あいつら……何だ!?」

「来てるぞ! 早く逃げろ!」

「ハァ! ハァ! ハァ! ……うっ!」

「どけ! 俺を乗せろ! 金なら出す! いくらでも!」

パニックの列の後ろの道から、見慣れた影が闇の中からゆっくり出てくる。

「アイツ!? なんで!? 黒い鎧の奴、ここで何してんだ!?」

マジでヤバい。アイツの力なら、ここにいる全員を全滅させるの、余裕だ。俺、逃げたい。マジで嫌だ。

「シノミ……蓮……」 二人とも俺の服をガシッと掴んで、体がガクガク震え始める。

「お前ら……あれ、何!? 安全……だよな!?」 石川さんも後ずさり、声が震え始める。

ドン!

「ハル!?」

いつの間にか、俺の体、何も持たずに黒い鎧の奴に突っ込んでた。

「虫けらが、なかなか度胸あんじゃねえか?」

バン!

俺、できることなんてこれだけ。道に落ちてた石拾って、アイツの鎧の頭に投げつけて、ダッシュで背後に回る。

「このハエ野郎! てめえを先に片付けてやる!」

俺、全力で走る。みんなが集まってるとこから遠ざかるように、崩れたビルやモクモクの煙の間を抜ける。アイツの弾を必死に避けるけど……

シュッ!

青い光が俺の足をブッ刺して、俺、ドサッと倒れる。

「ハエ野郎、その勇気は褒めてやるよ。けど、お嬢様に選ばれたからって、俺が見ず水に流すと思うな。」

「お嬢様を悲しませるのは残念だが、今日がお前の最期だ。」 アイツ、槍を高く掲げ、傷だらけの俺に突き刺す準備。

意識がボヤボヤ、痛みがめっちゃキツくなる。ズボン、血でビショビショ。頭ん中、疑問だらけ:お嬢様? 誰のことだ!? でも、多分、答えは分かんねえ。

ガキン!

「無魂のブリキ野郎! どけ! 邪魔すんな!」

「お前の遊びを邪魔してすまねえな。けど、戸上様はここで死ねねえんだ。」

星間さん!? ここで何してんだ!? 手に持ってるの、二本の刀!?

「なら、俺の兵隊と遊べ!」 アイツの言葉と同時に、白い鎧の奴らが星間さんを全方位から囲む。

「さあ、お嬢様に気に入られた人間! 救世主がボロボロになるのを見やがれ!」 アイツ、俺の頭をガシッと掴んで、星間さんが次々と攻撃されるのを見せつける。

俺、マジで無力だ。弱え! 今、また誰かを巻き込むところだった。こんなのダメだ。俺、必死にアイツの武器に手を伸ばす。

「そんなに欲しいか? なら、持ってみろ!」 アイツ、俺をドサッと地面に投げ、槍をポイッとよこす。

「けど、警告しとくぜ。お前らみたいな種族、これに触れたら発狂するぞ。」

嘲笑う声無視して、俺、最後の力で槍に手を伸ばす。頭ん中、一つだけの考え:「発狂でも何でもいい! 目の前の人を救えりゃ、それでいい!」

槍をガシッと掴んだ瞬間、青い光がバチッと輝く。体、急に力がみなぎる。足の傷、痛え感覚が消える。でも、なんかボーッとしてくる。

俺、ゆっくり立ち上がる。両手で槍を握り、星間さんが戦ってる方に向ける。

「まだ早えんじゃねえか、ガキ?」

「その体じゃ、大したことできねえぞ!」

変な声、頭ん中で響く。

「ま、いい。今回は俺がやる。けど、次はお前が自分で動けよ。」

ガキン! ドン! バン! キン!

「何!? 俺、槍振って……!? 体、勝手に動いてる!?」

「アイツ……何だよ、こいつ!?」

「さっきまでフラフラで立ってられなかった奴が、今、俺の軍をぶっ潰してやがる!」

うあああ!!!

「面白いぜ、虫けら! お前、お嬢様のペットだけじゃねえ、俺たちの一員だったか。なら、なおさら生かしておけねえ!」

ガキン!

「ご主人のことばっか気にして、俺のこと忘れてたな。」

「てめえ! 邪魔モン! どけ!」

「お望み通りだ。」

ドカン!

土と石がバンバン飛び散る。道路、アイツの足跡で長くえぐれる。アスファルト、全部ぶっ飛ぶ。周りの壁、ドカンと消し飛ぶ。

「てめえ……この槍投げの技術まで知ってやがる!?」

オオオ……オオオ……

「よくも生き残ったな! 次会ったら、絶対にケリつけてやる!」 黒い鎧の奴、即撤退。白い鎧の奴らも、負傷者を引きずってすぐ消える。

そして、夜明けの光がチラチラ差し込む。まるで全て終わったって合図みたいに。

ガアアア!!!

でも、俺に襲いかかってきたのはめっちゃキツい痛み。体中の肉がズタズタに引き裂かれたみたい。意識、完全にボヤける。その後、何が起きたか覚えてねえ。

「休んでてください、戸上様! 後は私が何とかします。」

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