宇宙侠風伝 ~ミリアム・ユヴェンハザの友だち100人できるかな?~

ゆび ななお

1_そうだねそうだね、旅立ちだよ!!

「こら!! ドーガ! また泣いて! 笑われちゃうよ? このミリアムちゃんにさ?」


 はい! 私の名前はミリアムさんです!! 近隣銀河レベルで最強最大のカンパニー、ユヴェンハザカンパニーの御令嬢様であるのです!! はい! ドーナツ大好きです! チョコナッツの!!


「だってぇ!! ミリアムが悪いんだぞ! 僕のアームドアーマーに変なプロンプト入れて! 中枢OSを発狂させたりするから! 僕は修正ソース組んで、もう五日も寝てないんだよ!!」


 あーぅ! オウチ!! そうだったのか、そうなのかー!! やっちまったぜ、ミリアムちゃん!! ぐはっ!


「それで? どうするんですの、ミリアム?」


 聞いてくるのは、ニューリア。ニューリア・オクシオーヌっていう。


 まあ。青髪のゲキレツ美少女。何じゃいコイツの美貌は!!


「こんな宇宙環礁で。宇宙ヨットを座礁させちゃって。その上に、防衛手段のドーガのアームドアーマーまでバグらせて。ほんとにあなたは、ミリアム?」


 こわ。こわわ~。何じゃい何じゃい! ちょっと絶世の美貌だからって! このプリティカルなミリアムちゃんを、舐めたらあかんで~!!


「あのさ。アトミックフードメーカー。壊れた」


 ん? んんんん? 何言ってんのアンタ、ドダイ君?


「わかんない? アトミックフードメーカー壊れた。もうご飯でない」


 は? なにそれ? あたしたち、飢えるって事? 思わずそう叫んだら。


「そう。まあ、落ち着いていこう」


 そんな事言う、あたしたちチームの最年少メンバー、ドダイ・ファーム。


 どうせいっちゅうねん、ご飯もない、船も動かない、さらに。


「うわー‼ ソースがガンガン書き換わる~!! 変なウイルスより、ミリアムのプロンプトの毒がヤバあ~い!!」


 叫ぶドーガ。つまり、アームドアーマーによる、宇宙船護衛も。


 ままならない。

 どうせいっちゅうねんや!!


   * * *


「はらへった……」


 もう三日も何も食べてない。これは苦行かのう?


「水を。お食べになります?」


 あああああぅ!! トンチキな事を言うニューリア。アンタは魔法人種だから、そんなもんも食べられるかも知れないけど……さ!


「生憎。僕ら固形飯が無いとダメなんだよね……」


 宇宙ヨットの甲板で、『たれうさぎ』っていうマスコットみたいに潰れてるドーガ。なんか、鰹節をひたすら削って、しゃぶってるドダイ君。あれは彼の私物だから、取り上げるわけにもいかない。


「アカン! 死んでしまうわ!!」


 ここは決心のしどころ。かますわよ、ミリアムちゃん、あたし!!


「ドーガ!! レーザー通信網フル展開!! 近くに船が来てないか、探すわよ!!」

 

 あたしは、宇宙ヨットの探査枠を最大にして、近くを通る船がいたら、救援を呼ぶことにしたのだ!


「……拙くない? それ。この船の残りエネルギーが、枯渇しちゃうよ?」


 ドーガがそんな応えをよこすけど。


「船動かない。アトミックフードメーカー壊れて、食糧なし。あたしたち、このままじゃほんとに死ぬわよ?! それよりは活路見出さないと!!」


 って積極手段に出る時よね。

 すると、水食べてたニューリアが。


「いいでしょう、珍しく。ミリアムがまともな事を考えましたね」


 そんな事を言ってくる。あたしはもともと、まともですよね?


 ……どうなんだろう? 自分でもわからなくなって来たぞう?!

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