ソウルブレイカー:炎と水が交わるとき

@Chihuakuro

第1話 夜の扉

日が沈むと、彼女の世界は静かに切り替わる。

目を閉じて、開いた瞬間には――そこはもう「電脳空間」だった。


現実の家と同じ間取り、同じ家具。

ただ一つ違うのは、窓の外に広がる夜空が、無数のデジタル光で満ちていること。

その光はまるで都市の魂が流れているように揺らめいていた。


ベッドの横に立てかけられたクリスタルの剣が、彼女を迎えるように淡く光る。

剣を握ると、掌に「水のソウル」が流れ込む。

深呼吸をひとつ。戦闘モードの身体が目を覚ます。


「……今日も行くしかない、ね。」


玄関を出ると、街の端に“ノイズ”が走っていた。

そこから、黒い影が這い出してくる――ソウルを喰らうフォールン


体を低く構え、剣を構える。

水のソウルが剣の周囲を包み、淡い光が広がる。


敵の攻撃を紙一重で避け、反撃の一閃。

けれど、影は再び形を変えて襲いかかってきた。


(やっぱり、私だけじゃ……!)


その瞬間――


背後から炎のような気配が駆け抜けた。

振り返ると、少年がいた。

東側の部屋の住人、あの電脳空間の少年。


「危ない!」


炎を纏った刃が、彼女の剣に触れる。


次の瞬間、彼女のクリスタルの剣が紅く輝いた。

水と炎、二つのソウルが共鳴する。


「――これが、“ソウルブレイカー”の力だ。」

少年が呟く。


彼女は頷き、二人は並んで敵へと走り出した。

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